出版社内容情報
〈わたしは、先住民の哲学において料理が占める真に本質的な場を理解しはじめた。料理は自然から文化への移行を示すのみならず、料理により、料理を通して、人間の条件がそのすべての属性を含めて定義されており、議論の余地なくもっとも自然であると思われる――死ぬことのような――属性ですらそこに含められているのである〉(本書239ページ)
構造人類学の探究の頂点に位置し、20世紀思想の金字塔と讃えられるレヴィ=ストロースの主著『神話論理』(全5巻・原著は全4巻)を、ここに刊行する。10年以上の年月をかけ、ほぼ2000ページを費やして成ったこの大著は、南北アメリカ大陸先住民の813の神話を扱いながら、自然から文化への移行を読む驚くべき想像力、南アメリカのボロロの神話から北アメリカまで範囲を広げた地理的運動のダイナミズム、神話の論理にみられる二項対立の思考への構造分析の緻密さによって、まさに比類がない。神話的思考の普遍性をしめした、圧巻の文明批判の書でもある。
『生のものと火を通したもの』『蜜から灰へ』『食卓作法の起源』『裸の人1・2』の5巻は、それぞれが独立しながら相互に関係し、さらに『神話論理』全体が『今日のトーテミスム』『野生の思考』から『やきもち焼きの土器つくり』まで、著者のほぼ全著作と照応している。他巻同様、音楽的構成のきわだつ神話論理Ⅰ『生のものと火を通したもの』は、「序曲」に続いて、全体の基準神話となるボロロの「鳥の巣あさりの神話」が論じられる。
ここからすべては始まるのだ。
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関連書:
レヴィ=ストロース『神話論理』の森へ
渡辺公三・木村秀雄編・四六判・260頁・定価2730円(本体2600円)・ISBN4-622-07208-4 C1010
同時刊行
◇原書から40年をへて待望の日本語訳が刊行されるその浩瀚なライフワーク『神話論理』を読むためのガイドブック。執筆陣:中沢新一、M. エナフ、渡辺公三、木村秀雄、内堀基光、鈴木一誌、港千尋、安冨歩、池澤夏樹
2005年秋、96歳のレヴィ=ストロースへのオリジナル・インタヴュー、レヴィ=ストロース主要著作目録を所収。
内容説明
構造人類学の探究の頂点に位置し、20世紀思想の金字塔と讃えられてきたレヴィ=ストロースの主著『神話論理』を、ここに刊行。ボロロの「鳥の巣あさりの神話」から、すべては始まる。
目次
序曲
第1部 主題と変奏(ボロロの歌;ジェの変奏(六つのアリアとそれに続く一つのレチタティーヴォ))
第2部(行儀作法についてのソナタ;短い交響曲)
第3部(五感のフーガ;オポッサムのカンタータ)
第4部 平均率天文学(三声のインヴェンション;二重逆転カノン;トッカータとフーガ;半音階の曲)
第5部 三楽章からなる田舎風の交響曲(民衆的主題にもとづくディヴェルティメント;鳥たちの合唱;結婚)
著者等紹介
レヴィ=ストロース,クロード[レヴィストロース,クロード][L´evi‐Strauss,Claude]
1908年ベルギーに生まれる。パリ大学卒業。1931年、哲学教授資格を得る。1935‐38年、新設のサン・パウロ大学社会学教授として赴任、人類学の研究を始める。1941年からニューヨークのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチで文化人類学の研究に従事。1959年コレージュ・ド・フランスの正教授となり、社会人類学の講座を創設。1982年退官。アカデミー・フランセーズ会員
早水洋太郎[ハヤミズヨウタロウ]
1941年に生まれる。1972年京都大学大学院文学研究科博士課程中退。愛知県立大学外国語学部教授。フランス文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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