池内紀の仕事場〈3〉カフカを読む

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  • サイズ B6判/ページ数 300p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622081333
  • NDC分類 081.6
  • Cコード C0395

出版社内容情報

「大学を出るとき、卒業論文はカフカだった。大学院に進んだのち、カフカはやめた。興味がうつったからだが、一つには、日本語で読めるカフカになじめないものがあった。どうしてなのか、自分にも理由がわからない。とにかく読みだすとイライラする。原書で読むのと、あまりにもちがいすぎる」

『カフカを読む』の「仕事場ノート」に著者はこう書いている。思えば、戦後の実存主義のブームに乗って流行した<カフカ文学>は暗く深刻で、読者をなかなか寄せつけないところがかえって有り難いようなところがあった。しかし、池内紀訳の手稿版『カフカ小説全集』(白水社)が出て、この小説家のイメージは一変した。彼の考えた小説の構想とともに、その熾烈な文学的野心とユーモアが明らかになってきた。謎めいた神話的人物ではなく、等身大のカフカが発見された。

「書棚の隅に<カフカ>のラベルのついたファイルがある。全体が象のおなかのようにふくらんでいるのは、何であれカフカとかかわりのあるものを入れたからだ。プラハの地図、絵葉書、写真、挿絵のコピー、新聞の切り抜き、映画のパンフレット……」

家族とりわけ父との関係・勤め先・文房具や女性関係、さらに「変身」「断食芸人」や長篇三部作のきめこまかい分析と鑑賞など。本書には、最新のテクストと現場検証によって、これまでになかった<未知のカフカ>が姿を現わすことになるだろう。

池内紀の仕事場 全8巻
第1回配本


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池内 紀(いけうち・おさむ)
1940年、兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者。エッセイスト。1966~96年、神戸大、都立大、東大でドイツ語、ドイツ文学の教師。その後は文筆業。「池内紀の仕事場」収録以外の主な著書、『ウィーン・都市の詩学』(1973年・美術出版社・ちくま文庫)、『諷刺の文学』(1978年・白水社・亀井勝一郎賞)、『ぽくのドイツ文学講義』(1996年・岩波書店)、『ゲーテさん こんばんは』(2001年・集英社・桑原武夫学芸賞)など。主な訳書は、カネッティ『眩暈』(1972年・法政大学出版局)、ロート『聖なる酔っぱらいの伝説』(1989年・白水社)、ゲーテ『ファウスト』(1999年・集英社・毎日出版文化賞)、『カフカ小説全集』(全6巻・2000/2002年・白水社・日本翻訳文化賞)など。


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池内 紀の本より:
『見知らぬオトカム』
『遊園地の木馬』
『ちいさなカフカ』
『無口な友人』
『道化のような歴史家の肖像』

内容説明

家族・勤め先・文房具・性から変身・食べない男・長篇三部作まで。最新テクストの味読によって、熾烈な文学的野心とユーモアをもった等身大のカフカを発見。

目次

1 カフカという人(家族;友人ブロート ほか)
2 短篇をめぐって(窓辺の人物;虫男 ほか)
3 長篇をめぐって(『失踪者』;『審判』 ほか)
4 カフカの謎(父への手紙;手紙の行方 ほか)

著者等紹介

池内紀[イケウチオサム]
1940年、兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者。エッセイスト。1966~96年、神戸大、都立大、東大でドイツ語、ドイツ文学の教師。その後は文筆業。主な著書に『諷刺の文学』(1978年・白水社・亀井勝一郎賞)、『ゲーテさんこんばんは』(2001年・集英社・桑原武夫学芸賞)など。主な訳書は、ゲーテ『ファウスト』(1999年・集英社・毎日出版文化賞)、『カフカ小説全集』(全6巻・2000/2002年・白水社・日本翻訳文化賞)など
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感想・レビュー

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Tonex

5
自選著作集。『カフカのかなたへ』『ちいさなカフカ』『カフカ事典』など過去の著作を切り貼りして加筆訂正したもの。▼「仕事場ノート」が面白かった。日本で一番最初にカフカ論文を書いた岡村弘先生の話(=卒論にカフカを選んだら教授たちの不興を買い、2年ばかり就職にありつけなかった)とか、カフカの邦訳に対するさりげない悪口(=読むとイライラするので大学院に進んでのち、カフカをやめた)とか、『手稿版(批判版)カフカ全集』の翻訳権を取得するまでの遠くて長い道のり(=版権の行方そのものが『城』の舞台とそっくりだった)とか。2015/12/17

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