内容説明
アウシュヴィッツで虐殺されたユダヤ人はどんな人びとだったのか?無名の詩人からクラウスへ、ユダヤ人の根っことその有りようを追尋した初の論考集成。
目次
1 “ユダヤ人”のありかた(ヴェニスの商人;ユダヤ人町 ほか)
2 “ユダヤ人”であること(キュゼラーク来たる;アメリカの哲人 ほか)
3 ユダヤの知恵(ユダヤの知恵)
4 言葉の力(言葉と戦争;ゴロツキ、出ていけ! ほか)
5 亡命者たち(亡命の仕方;トゥルノン通り十八番地 ほか)
著者等紹介
池内紀[イケウチオサム]
1940年、兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者。エッセイスト。1966~96年、神戸大、都立大、東大でドイツ語、ドイツ文学の教師。その後は文筆業。主な著書に『諷刺の文学』(1978年・白水社・亀井勝一郎賞)、『ゲーテさんこんばんは』(2001年・集英社・桑原武夫学芸賞)など。主な訳書は、ゲーテ『ファウスト』(1999年・集英社・毎日出版文化賞)、『カフカ小説全集』(全6巻・2000/2002年・白水社・日本翻訳文化賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
讃壽鐵朗
5
ドイツで虐殺されたユダヤ人とは一体何だったのかとの疑問が湧いてくる。2021/12/03
Hisatomi Maria Gratia Yuki
4
ドイツでのユダヤ人迫害はヒトラーからではなく、第一次大戦のときからその徴候があったこと、ヒトラーが政権を握って以降は、公職から、夜間の散歩から、借り住まいから、とその生活圏が狭められていく過程が、「ユダヤ人」とされた主には文筆業の「ドイツ人」の人生を例に紐解かれる。ユダヤ人の誰でもがパレスチナに移住できたわけでもなかったり、大西洋を渡った先で複数の国に門前払いに遭ってドイツに戻り、強制収容所にそのまま入れられたりと過酷な成り行きの数々。過ぎた過去ではなく現在との地続き加減にたびたび鳥肌が立った。2019/09/15
hikarinohe
2
好きな著者なので手に取った本。ユダヤ人とはこういうものだと言うのではなくて、一人ひとりこういう人物がいたという語り口で、物語みたいでよかった。2014/10/24