出版社内容情報
〈シャモーニさんのLessing日本訳についての「論争」大へん面白く読みました。私には、Lessingを論ずる資格はまったくありませんが、翻訳のなかにふくまれる「文化接触」のケースとして、きわめて重要な問題と思います。一般的に言って、幕末明治以後、ヨーロッパ語の翻訳は、だんだん堕落した、というのが私の考えです。たとえば、アメリカの独立宣言の翻訳は、幕末の「西洋事情」の中にある福沢の意訳が一番、原意をよくつたえているのです。何というIronie〔皮肉〕でしょう!
お手紙に触れられた、ドイツの新しいtotalitar〔全体主義的〕な傾向は、ただただ驚くばかりです。戦時中の日本のmission schoolにたいする靖国神社参拝の強要などを連想させました。けれども、日本に報道された、ドイツの戦域核兵器配備に反対する大きなデモはすばらしいではありませんか。「唯一の被爆国」を売物にしている日本は顔色なしです。ああいう運動が高まって、レーガン政権の世界政策をけん制する力になることを願わずにはいられません>(W・シャモーニ宛 1981年11月5日)
「闇斎学と闇斎学派」発表から、ドイツ語版『日本の思想』刊行にいたる〈校正〉書簡、バイロイト音楽祭再訪、『「文明論之概略」を読む』刊行まで。1980-1986年の201通を収録する。
全5巻
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丸山眞男(まるやま・まさお)
1914年大阪に生まれる。1937年東京大学法学部卒業。1940年助教授、1950年教授。1961-62年ハーバード大学特別客員教授。1962-63年オックスフォード・セント・アントニーズ・カレッジ客員教授。1971年退官。1975-76年プリンストン高等学術研究所員。1996年8月15日没。主要著作『政治の世界』(1952)『日本政治思想史研究』(1952)共編『政治学事典』(1954)『日本の思想』(1961)『増補版 現代政治の思想と行動』(1964)『戦中と戦後の間』(1976)『「文明論之概略」を読む』(1986)『忠誠と反逆』(1992)『丸山眞男集』全16巻・別巻1(1995-97)『丸山眞男講義録』全7巻(1998-2000)『自己内対話』(1998)。1996年歿。
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