大人の本棚
本の中の世界

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  • サイズ B6判/ページ数 213p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622080619
  • NDC分類 019.04
  • Cコード C1342

内容説明

素粒子および核力についての中間子理論によって、日本人として初めてノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹。その幅ひろい読書体験から生まれた随想を集める。幼い頃、祖父から授けられた中国の古典への素養が、著者の精神風土を形成した。終生の愛読書「荘子」、墨子や漢詩の世界から、やがて少年時代・青年時代をつうじて興味の赴くままに日本の古典をひもとき、現実世界の外にひろがる別天地をそこに見る。西行、近松浄瑠璃、源氏物語…さらに、物理学者として国外へ出て、アインシュタインはじめ多くの出会いを契機として触れた西洋の書物を語るなかに、その世界観が透けてみえる。あるときは古典を近代科学の営みに引きつけて読む、心の広がり、自由さ。稀有な物理学者が、人間の築いてきたゆたかな書物の世界へ読者を誘う。

目次

「荘子」
「墨子」
「文章軌範」
「唐詩選」
「近松浄瑠璃」
「山家集」「伊勢物語」
「近世畸人伝」
「狂言記」
「東西遊記」
「源氏物語」〔ほか〕

著者等紹介

湯川秀樹[ユカワヒデキ]
1907‐1981、東京生まれ。1929年、京都大学理学部物理学科卒業。1933年、大阪大学理学部講師、1934年に素粒子の相互作用の理論を発表し、中間子の存在を予言した。1936年、同大学助教授、1939年、京都大学教授となる。1948年、プリンストン高等研究所客員教授。1949年、素粒子および核力についての中間子理論によって、ノーベル物理学賞を受賞。コロンビア大学客員教授、京都大学基礎物理学研究所所長等を歴任し、ラッセル=アインシュタイン宣言やパグウォッシュ会議などをつうじて平和運動にも貢献した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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禿童子

21
中間子を予言して日本人で初めてノーベル賞を受賞した理論物理学者という先入観をもってかかると、漢詩や浄瑠璃、源氏物語などの古典をよく読んでる「文系」ぶりは意外。江戸時代の橘南谿の『東西遊記』に触れて「子供のときから今日までの私の心境と不思議なほどよく似ている。...もっともっと狭くてもよい。外の世界の喧騒を忘れさす静寂が、そこにあればよいのである。ただ、子供のときから相当の年配になるまで、こういうささやかな夢を抱きつづけている点が共通していると感じるのである。」こんな心の柔らかさが人間的な魅力になっている。2018/03/26

ぞしま

15
湯川秀樹が読んできた本にまつわるエッセイ、良書だった。荘子、墨子、源氏、近松浄瑠璃や、カラマーゾフの兄弟、鴎外、漱石、荷風などその内容は多岐に渡る。自身の詩や、アインシュタインの思い出なども書かれている。ヴェルレーヌの詩を上田敏と、永井荷風で比べたりしている所も面白かった。物理学者の明晰さと内奥に潜む詩情……自分が知らないだけなのかもしれないけれど、改めて、ほんと、こういう(あんまり使いたくないけど)真の知識人と呼ぶべきがいなくなってしまったんだな、というのが偽らざる思い。仕方なし、という感もあるけど。2017/03/02

ぱせり

7
この本で著者がとりあげる書物は、文学作品として優れているのはもちろんだけれど、一人の読者にとって、かけがえのない書になるのは、夢中で読んだ当時の思い出と混ざり合うせいもあるのだろう。それはとてもよくわかる。きっと誰にでもあるにちがいない。あの時この時の私の一冊をわたしも思い出している。2024/04/22

ロピケ

4
湯川さんって、普通に考えたら物理の学者さんで、ノーベル賞受賞者で、今から100年以上前に生まれた人で、偉大な人だとは思っていたけれど、特に関心を持っていたわけでも無かった、のに、この本をパラパラした途端、湯川さんに俄然、興味が湧いた。本物の教養に裏打ちされた人間の一例と言える。文学の(文学以外でもだと思うけれど)素養があって、物理学の世界を把握するということもあったのだなあ…と違う次元にいる私にも何となく分かった。諸子百家、世界史や国語の漢文でちょこっと触れたことあったけど、なかなか面白そうだと感じた。2013/02/26

はるとん

1
やっぱり天才は子供のときから考え方、思うところが違うのか…。2018/02/26

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