ペスト&コレラ

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  • サイズ B6判/ページ数 243p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622078388
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

出版社内容情報

ペスト菌の発見者イェルサンの冒険的生涯を描く傑作長編。百年前のアジアが舞台。北里柴三郎やランボーも登場。フェミナ賞・本屋大賞

ペスト菌の発見者としてのみ名を残すアレクサンドル・イェルサンの、奇妙な生涯を描く傑作長編。百年前のインドシナに渡り、伝染病が蔓延する香港、密林を踏破、辺境に住み着き、発明発見を続けてヨーロッパに戻らなかった。病理学者にして船乗り、兵士。北里柴三郎やランボーも登場。「スティーヴンソンのように異郷的、ヴェルヌのように神秘的!」と大評判。フェミナ賞・フナック本屋大賞などに輝く小説。

最終便/昆虫/ベルリンにて/パリにて/肘鉄をくらう/ノルマンディーにて/世界の中心の鉄塔/船上の医師/マルセイユにて/海にのりだす/二重生活/アルベールとアレクサンドル/機内にて/ハイフォンにて/貧しい人びとの医師/長い歩み/プノンペンにて/新たなリヴィングストン/ダラットにて/アルチュールとアレクサンドル/セダン族のもとで/香港にて/ナトランにて/マダガスカル島にて/ペストのワクチン/広東省にて/ボンベイにて/真の生活/ハノイにて/ニワトリ論争/箱舟/進歩の前哨/ゴム王/後世の人びと/果物と野菜/ヴォジラール街にて/機械と道具/キナノキ王/アレクサンドルとルイ/ほとんど過去の偉人/ベランダの下で/未来からきた妖怪/パストゥール団/海  謝辞

内容説明

ペスト菌(Yersinia pestis)にその名を留める、異端の人イェルサンの生涯を、徹底した取材と斬新な手法で描き、フェミナ賞に輝いた、めっぽう面白い科学史小説。

著者等紹介

ドゥヴィル,パトリック[ドゥヴィル,パトリック] [Deville,Patrick]
1957年生まれのフランス作家。ナント大学で比較文学・哲学を学んだのち、1980年代を中東、ナイジェリア、アルジェリアで暮らす。1990年代、たびたびキューバ、ウルグアイほか中米に滞在。1996年、「ラテンアメリカの若い文学賞」を創設、雑誌『Meet』を創刊、サン=ナゼールに「外国人作家と翻訳者の家」を創立し、現在もそのディレクターをつとめている。2011年、『リール』誌は、ドゥヴィルの小説『カンプチア』を年度最優秀作品に選出。イェルサンの生涯をえがいた『ペスト&コレラ』は、フランスの文学賞すべての候補となり、書店フナックによる小説賞につづいて、フェミナ賞その他の文学賞に輝いた

辻由美[ツジユミ]
翻訳家・作家。著書に『世界の翻訳家たち』(1995、新評論、日本エッセイストクラブ賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こぽぞう☆

25
ペスト菌の発見者でもあり、最初の治療者でもあったアレクサンドル・イェルサンの伝記。医師であり、卓越した研究者でありながら、船医になってみたり、探検家になってみたり、天文学、植物学etc。後半生は自らの研究の余禄ともいえる財産で農場兼研究所にこもり、亡くなるまで知的探求から離れない。研究においてもその他においても、真の冒険者だな。2016/07/03

きゅー

14
ペスト菌の発見者イェルサンの生涯を描いた小説。記録、史実に忠実に寄り添いながらも、彼の足跡をただ時系列に綴っているわけではない。「未来から来た妖怪」(作者)は彼に寄り添い、片時も離れずにいながら、イェルサンとは直接関係ないランボー、セリーヌそのほかの歴史に名が刻まれた人々についても言及する。パストゥール研究所、その他多くの科学者が科学の進展のために切磋琢磨する群像劇を堪能しながら、19世紀から20世紀へと変わりつつある時代の空気に酔う。彼ら科学者の矜持に改めて驚かされる一冊。2015/02/03

qoop

8
ペスト菌の発見者、探検家、農園経営者など、多くの貌を持つ人物の伝記小説。国家・政治・巧妙争いといった大きな流れと距離を置き、自分の関心の赴くまま道を定める主人公の形容として頻出する〈父なし子〉というキーワード。それが示すのは、頼みとするものがない反面、選択肢のない束縛から離れた自由な精神、つながりを保ちつつ個として屹立する人間の在り方。〈自分で父を選び、したがって祖国をえらんだ人たち〉(p227)への視座に、極めて現代的な問題点を視野に入れた著者の志向が読み取れる。2016/01/04

まこ

5
老いた主人公イェルサンが過去を回想する話とも、未来から来た妖怪による彼の伝記とも取れる。医学の発展や冒険譚に心躍らせつつも、戦争の存在がどことなく影を落とす。イェルサン、周りの科学者たちが研究を認められ表に出ていく中、まったり暮らして、そういう意味ではどこかずれてるけど、そんな自分を受け入れちゃってるとこが大物。2015/07/06

mawaji

5
ペスト菌の学名に名が残っているイェルサンの生涯の物語。小説仕立ての伝記といった感じで、時々著者が「未来からやってきた妖怪」として出没したりして、読み始めはちょっとペースをつかむのに苦労しました。その昔、細菌学の講義で習ったパスツール、コッホ、北里、カルメットらが研究・発表に鎬を削るなか、ひとりイェルサンだけが飄々としてペスト菌を発見し、後は同僚に任せて探検、農業、天文学など知的欲求の赴くまま世界を転々をし、必要な時は呼び出されつつ晩年は文学に目覚めるという自由な人生、ちょっとだけ憧れるところもありました。2014/08/26

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