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そこに僕らは居合わせた―語り伝える、ナチス・ドイツ下の記憶

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  • サイズ B6判/ページ数 239p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622077008
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

出版社内容情報

ナチス思想を刷り込まれ、祖国の正義と勝利を疑うことなく生きた少年少女の日々。若い目が捉えた「あの時」を痛みをおして今、語る。

内容説明

17歳で終戦を迎えた著者は、「軍国少女」から、戦後は価値の180度の転換を迫られた世代―自らの体験や実際に見聞きしたエピソードから生まれた20の物語。ナチスの支配下、全体主義の狂気に「普通の」人びとがのみこまれてゆくさまを少年少女の目を通して描く。

目次

スープはまだ温かかった
潔白証明書
九月の晴れた日
賢母十字勲章
十一月のある朝
追い込み猟
おとぎ話の時間
スカーフ
ランマー
会話
価値ある人とそうでない人
すっかり忘れていた
人形のルイーゼ
アメリカからの客
どこにでもある村
それには勇気がいる
守護天使
沈黙の家
お手本
輝かしき栄誉

著者等紹介

パウゼヴァング,グードルン[パウゼヴァング,グードルン][Pausewang,Gudrun]
1928年、当時はドイツ領のボヘミア東部ヴィヒシュタドル(現チェコのムラドコウ)に生まれる。女子ギムナジウム在学中の15歳のときに父親が戦死。17歳で、第二次大戦の終戦を迎える。戦後はボヘミアを追放され、母や弟妹とともに西ドイツのヘッセン州ヴィースバーデンに移住。1948年にアビトゥーア(中等教育修了資格)を得たのち教職に就き、1956年には南米に渡って、チリ、ベネズエラのドイツ人学校で教鞭を執った。1963年に西ドイツにいったん帰国して小学校の教師を務めたのち、ふたたび南米コロンビアに暮らし、1972年に帰国

高田ゆみ子[タカダユミコ]
1956年、大阪府生まれ。東京外国語大学ドイツ語学科卒業。東京大学大学院比較文学比較文化修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

oldman獺祭魚翁

52
自分はそのとき何をしていたか? ナチが権力をもって、ドイツという国を動かしていた時、ドイツ人は何をしていたのかという話を集めたものです。著者はドイツが降伏した時、17歳のドイツ女子青年団(ヒトラーユーゲントの女性版)の一員でした。やはり多く語られるのは、ユダヤ人の話が多いです。1話目の「スープはまだ温かかった」や「追い込み猟」「アメリカからの客」など重く暗い話が多い。しかしかってのは恥の想い出は記憶から消し去りたいものでしょう。 しかし、敢えてこんな本を書いています。見習うべきなんでしょう。2021/10/17

キムチ27

51
筆者2作目です。彼女が自らに課した責務の重さに項垂れる。安易に「語り継ぐ者がいなくなるから」とニュースで言われるがナチスの所業は20Cの天辺に属すはず。読み易い訳とフィクションの様をなしたショートスト―リー20篇は全て酷似の現実を踏まえてのはず。情景が浮かび上がり重く惨い。人間のあらゆる美醜がない交ぜになり「何処にでもいる人」が様々な人間に変貌する恐さが浮き彫りになる。国家社会主義精神の下、教育をツールとして巧妙に操り青少年を染めて行ったヒトラー。その一人であった筆者が傷口をいやし自分で考え、他者を客観視2021/11/19

つちのこ

34
ナチズムは広義でファシズムに分類されている。独裁的な権力をもって反抗の弾圧や暴力があったにも関わらず、それはユダヤ人や非ドイツ国民、共産主義者に対してであり、国民の多くはヒトラーを崇め、その国家主義を熱狂的に支持した。当時の子供たちがプロパガンダや学校教育で気づかぬうちに洗脳されていく過程は恐ろしく、覚醒するまでの苦悩とその後の人生を思うと、彼らも被害者であった。日常生活の中にさりげなく入り込んだ邪悪な狂気や閉塞感を証言し続ける著者の姿勢には、ドイツが犯した過ちに翻弄された自らの悔いが見え、胸が痛んだ。2021/12/08

星落秋風五丈原

27
悪気がない人がつい言ってしまうひとことにこめられた悪意の方が恐ろしい。2022/05/11

Nobuko Hashimoto

26
短編小説集。多くは作家自身が見聞きしたことを基にしている。共通するのは、若者から見たナチスドイツ時代という視点。今にして思えばという記述になっているが、それがかえって、無名の人々が背負ってきた重い過去が無数にあることを実感させる。戦争や迫害の責任は普通の人々にもある、そうした過去をなかったことにしてきた人々がいることを現代の若者が祖父母世代に問い直すというスタイルは、長く教師をしてきた作家ならではだと思う。さらさらと読めて、それでいて胸や脳裏に残る作品集。彼女の作品がもっと翻訳されることを期待。 2016/09/22

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