出版社内容情報
独ソ戦後、独裁制は形を変えて続く。人は困難の中で守ったものを、栄誉の後で失っていく。愛、自由、人間として生き死ぬ意味を描く。
内容説明
1942年11月、スターリングラードのドイツ第六軍を包囲する赤軍の大攻勢は、百時間で決着した。戦争の帰趨を決する戦闘が終わった。反ファシズムの希望、世界の目をくぎ付けにした都市は廃墟になった。その瞬間からスターリンは、ユダヤ人殲滅の剣をヒトラーからもぎとり、やがて国内のユダヤ人にふり降ろす。戦後の自由な暮らしを夢みて戦った国民に、一国社会主義の独裁者はたがをはめ直した。物理学者ヴィクトルは、核反応を数学的に説明する論文を観念論的と批判される。彼は懺悔をしなかった。失職して逮捕される不安に怯えながら、良心を守ったことで心は澄んでいた。ところが突然、スターリンからヴィクトルに電話がかかってくる。状況は一変し、彼は称賛に包まれるが、原子爆弾開発への協力をもはや拒否できない。困難の中で守った自由を、栄誉の後で失う人もいれば、幸せな記憶ゆえに苦難に耐える人もいる。栄光、孤独、絶望と貧窮、ラーゲリと処刑。いかなる運命が待っているにせよ、ひとは人間として生き、人間として死ぬ。この小説は、個人が全体主義の圧力に耐えるのがどれほど困難だったかを描いている。奇跡のように生きのびた本が今、日本の読者を待つ。全三部完結。
著者等紹介
グロスマン,ワシーリー[グロスマン,ワシーリー][Гроссман,Василий]
1905‐1964。ウクライナ・ベルディーチェフのユダヤ人家庭に生まれる。モスクワ大学で化学を専攻。炭鉱で化学技師として働いたのち、小説を発表。独ソ戦中は従軍記者として前線から兵士に肉薄した記事を書いて全土に名を馳せる。43年、生まれ故郷の町で起きた独軍占領下のユダヤ人大虐殺により母を失う。44年、トレブリンカ絶滅収容所を取材、ホロコーストの実態を世界で最初に報道する。次第にナチとソ連の全体主義体制が本質において大差ないとの認識に達した
齋藤紘一[サイトウコウイチ]
1943年群馬県生まれ。東京大学理学部化学科卒。在学中に米川哲夫氏にロシア語を学ぶ。通産省入省後、課長・審議官を務める。93年退官後、ISO(国際標準化機構)日本代表委員、独立行政法人理事長等をへて現在、翻訳家。99年、通訳案内業免許(ロシア語)取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遥かなる想い
ケイ
NAO
Willie the Wildcat
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん