内容説明
戦時のスローガン「一億一心」が覆い隠した社会の無秩序と緊張とは?日米関係の基本的な性格とは?「役に立った戦争」「日本映画、戦争へ行く」「日米関係における恐怖と偏見」ほか刺激的な8編。
目次
1 役に立った戦争
2 日本映画、戦争へ行く
3 「ニ号研究」と「F号研究」―戦時日本の原爆研究
4 造言飛語・不穏落書・特高警察の悪夢
5 占領下の日本とアジアにおける冷戦
6 吉田茂の史的評価
7 日本人画家と原爆
8 ふたつの文化における人種、言語、戦争
9 他者を描く/自己を描く―戦時と平時の風刺漫画
10 日米関係における恐怖と偏見
11 補論―昭和天皇の死についての二論
著者等紹介
ダワー,ジョン・W.[ダワー,ジョンW.][Dower,John W.]
1938‐。アマースト大学卒業後、ハーヴァード大学で博士号取得。現在マサチューセッツ工科大学教授。歴史学
明田川融[アケタガワトオル]
1963年生まれ。法政大学で博士号取得。政治学。現在工学院大学、東京女子大学、東邦大学、法政大学、立教大学、流通経済大学の非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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風に吹かれて
19
日米関係、戦前と戦後の日本の継続性、欧米人の日本人蔑視、戦争で利用され駐留政策で利用された天皇像など興味深く全11編の論稿を読んだ。 特に、あまりやる気がないまま進められた日本の原爆研究、『特攻月報』から特攻が取り締まっていた言論の読み解き、米国から怠慢だと見られていた吉田茂の話は新鮮だった。こちらの言うことには従順に物事を進めるであろうと考えていた米国。再軍備も問題ないだろうと思っているとそうはいかなかった。明治ジェントルマンの吉田茂は頑として頭を縦に振らなかった。 →2022/08/05
katoyann
19
占領期から始まる日本の戦後史に関するいくつかの論稿を集めて編集した本。戦後間も無くは日本の非軍事化と民主化がアメリカの対日政策であったが、強固な反共思想がアメリカ国内を席巻し、やがて同様の思想を持つ軍人が在日米軍内の重要なポストに就くと、再軍備化が要求されることになった。しかし、再軍備化のための憲法改正は、戦禍の悲劇を生々しく記憶している国民によって強烈な反対にあった。本書では昭和天皇の死までを叙述し、天皇制と民族の純潔性を訴える排外主義には関係があると指摘し、やがて極右化していく未来までをも捉えている。2022/03/26
funuu
9
2010年出版。安倍さんの言う「悪夢の民主党政権時代」中国の首脳の訪問時に小沢さんが当時中国序列NO7の今の習近平さんを天皇に面会させ天皇の政治利用だと言う批判があった年だ。その習近平が来年国費で安倍さんが招待した。まだ日本の力が強かった。ちょと前まで中国軽視の人も最近は中国の力を認めざるを得ない。アメリカの印象通り覇権が中国へ移れば日本はたぶん中国よりに舵を切るしかないだろう。日本は明治維新政権が継続しているだけだろう。2019/12/28
takao
2
ふむ2023/12/10
メルセ・ひすい
2
13-62 赤13戦争と米国植民地の゙昭和゙裕仁天皇を最後まで戦犯として扱うよう要求したのは豪州とニュージランドである。・・鯨が見える。マッカーサーの最高機密発言・曰・最初から最後まで操り人形、即ち「完全なチャーリー・マッカーシー」で、戦争を始めたわけでも、終わらせたわけでもなかった。あらゆる時点で、彼は助言に基づいて自動的に行動し、それ以外のことはできなかった。戦争を終わらせた閣議も、はじめたときと同様に筋書きができていた。もっとも、天皇が後者より前者に熱心だったことは確かだが。元帥は天皇に好意的だ2010/04/06