内容説明
現代抽象絵画を代表する作家マーク・ロスコ(1903‐70)。様々な色の矩形が浮かぶ独自の様式に至る以前、ロスコ自ら綴った草稿を編んだのが本書である。1940年代前半、自身の芸術がいまだ確立しない苦しみの中にあったロスコは、一時的に絵筆を置き、それに替えてペンを執った。そこに残されたのは、画家としてではなくオブザーバーとして造形芸術を語り、現代と古代のあいだをわたりながら記された、美術の〈リアリティ〉の系譜である。数年後に再び画布に向かった時、彼の作品は、現在ロスコの到達点として認められる純粋な抽象画へと変化を遂げる。挫折であると同時に、ロスコがロスコになる転回点ともなった時代の貴重なテキスト―死後永らく埋もれていた草稿が今、60余年の時を経てその息子の手によって甦る。
目次
芸術家のジレンマ
自然な生物学的作用としての芸術
行動の一形式としての芸術
造形過程の統一的全体性
芸術、リアリティ、官能性
個別化と一般化
ルネッサンス以来の一般化
情動的で劇的な印象主義
客観主義的印象主義
造形性
空間
美
自然主義
主題と題材
神話
現代の神話獲得の試み
未開文明のモダン・アートへの影響
モダン・アート
プリミティヴィズム
国民芸術
著者等紹介
ロスコ,マーク[ロスコ,マーク][Rothko,Mark]
1903‐1970。ロシア(現ラトヴィア)のドヴィンスクに生まれる。1913年に家族とともにアメリカへ移住。1923年よりニューヨークに居を移し、当地で抽象表現主義の代表的な作家として制作を続けた。1940年代後半より独自の様式を確立し、絵画表現に新たな領域を拓いた。1970年に自死
ロスコ,クリストファー[ロスコ,クリストファー][Rothko,Christopher]
1963‐。マーク・ロスコと二番目の妻メルとの間に生まれる。精神療法士、作家。現在、ニューヨーク在住
中林和雄[ナカバヤシカズオ]
1961年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。現在、東京国立近代美術館企画課長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Romi@いつも心に太陽を!
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メルセ・ひすい
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