ロスコ 芸術家のリアリティ―美術論集

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  • サイズ A5判/ページ数 48,2/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622074359
  • NDC分類 704
  • Cコード C1071

内容説明

現代抽象絵画を代表する作家マーク・ロスコ(1903‐70)。様々な色の矩形が浮かぶ独自の様式に至る以前、ロスコ自ら綴った草稿を編んだのが本書である。1940年代前半、自身の芸術がいまだ確立しない苦しみの中にあったロスコは、一時的に絵筆を置き、それに替えてペンを執った。そこに残されたのは、画家としてではなくオブザーバーとして造形芸術を語り、現代と古代のあいだをわたりながら記された、美術の〈リアリティ〉の系譜である。数年後に再び画布に向かった時、彼の作品は、現在ロスコの到達点として認められる純粋な抽象画へと変化を遂げる。挫折であると同時に、ロスコがロスコになる転回点ともなった時代の貴重なテキスト―死後永らく埋もれていた草稿が今、60余年の時を経てその息子の手によって甦る。

目次

芸術家のジレンマ
自然な生物学的作用としての芸術
行動の一形式としての芸術
造形過程の統一的全体性
芸術、リアリティ、官能性
個別化と一般化
ルネッサンス以来の一般化
情動的で劇的な印象主義
客観主義的印象主義
造形性
空間

自然主義
主題と題材
神話
現代の神話獲得の試み
未開文明のモダン・アートへの影響
モダン・アート
プリミティヴィズム
国民芸術

著者等紹介

ロスコ,マーク[ロスコ,マーク][Rothko,Mark]
1903‐1970。ロシア(現ラトヴィア)のドヴィンスクに生まれる。1913年に家族とともにアメリカへ移住。1923年よりニューヨークに居を移し、当地で抽象表現主義の代表的な作家として制作を続けた。1940年代後半より独自の様式を確立し、絵画表現に新たな領域を拓いた。1970年に自死

ロスコ,クリストファー[ロスコ,クリストファー][Rothko,Christopher]
1963‐。マーク・ロスコと二番目の妻メルとの間に生まれる。精神療法士、作家。現在、ニューヨーク在住

中林和雄[ナカバヤシカズオ]
1961年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。現在、東京国立近代美術館企画課長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Romi@いつも心に太陽を!

11
40年代。未だ方向が定まらず、混沌とした己の芸術に立ち止まった彼は、絵筆を置き草稿を書き連ねた。孤独と葛藤、掴みきれない苦悩。暗いトンネルを抜けた彼の見た世界こそが、あの抽象画の数々だったのだろう。眠っていた彼の言葉たち。息子の手によってまとめられた本書は彼の足跡を知ることのできる稀少なものだ。2010/12/23

彩菜

2
ロスコの美術論集。ロスコが自分のスタイルを確率していく過程になっている。彼が重要視する触知性や神話、それを択びとるのになんて膨大で論理的な思索があるのだろう。その思索の旅に同行できて面白かった。その根底には人間の本質や人間と社会といったものへの考察があり、結局芸術家の仕事というのはその考えを個のものとしてではなく、どう普遍的なものに高めるか、どうすれば人々との「直接的な接触」ができるか、どうすればそれを人々と分かち合えるかを考えていく過程なんだなあ。2018/06/10

メルセ・ひすい

2
本格的 美術論  ‘40年代の前半、自身の芸術がいまだに確立しない苦しみの中にあった画家は、一次的に絵筆を置きそれに変えてペンを執った。そこに残されたのは、画家としてではなくオブザーバーとして造形芸術を語り、現代と古代のあいだを渡りながら記された、芸術の〈リアリティ〉の系譜である。2009/05/15

メルセ・ひすい

1
1903~1970年・現代抽象絵画を代表する作家マーク・ロスコ。様々な色の矩形が浮かぶ独自の様式に至る以前、一時的に絵筆を置いて綴った草稿を収録。挫折であると同時に、ロスコがロスコになる転回点ともなった時代の貴重なテキスト。・・死後永らく埋もれていた草稿が今、60年あまりの時を経て彼の息子の手によって甦る。2009/07/14

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