囚人のジレンマ

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  • サイズ B6判/ページ数 422p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622072966
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

戦争は、終わらない。父エディの謎を追って、ホブソン一家は最大のパラドクスに直面する―『舞踏会へ向かう三人の農夫』の作家が贈る、感動の第二長編。

著者等紹介

パワーズ,リチャード[パワーズ,リチャード][Powers,Richard]
1957年アメリカ合衆国イリノイ州エヴァンストンに生まれる。11歳から16歳までバンコクに住み、のちアメリカに戻ってイリノイ大学で物理学を学ぶが、やがて文転し、同大で修士号を取得。80年代末から90年代初頭オランダに住み、現在はイリノイ州在住。Three Farmers on Their Way to a Dance(1985、柴田元幸訳、みすず書房)で作家として出発。最新作The Echo Maker(2006)で全米図書賞受賞

柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年東京都に生まれる。東京大学教授。専攻、現代文芸論

前山佳朱彦[マエヤマカズヒコ]
1972年和歌山県に生まれる。翻訳家。東京大学大学院博士課程単位取得退学。専攻、現代アメリカ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のりすけたろう

28
久々のリチャード・パワーズ💕やっぱり読み応えある。囚人のジレンマが頭から離れなくて、私もきっと最短を選べないのだろう(>_<)と思いました。お父さんの病気の真相もびっくりした。色々な事が勉強できた読書でした✨2021/04/17

スミス市松

26
「自己の利益を図ることが結局は自己利益につながらず、むしろ破滅につながることが多く、他者を信頼することが大きな自己利益につながりうるにもかかわらず、人々は往々にして、目先の安全のために自己利益を(そして他者の破壊を)めざしてしまう」――戦争の勃発から家庭の崩壊に至るまで、この世界あらゆる場所に蔓延する「囚人のジレンマ」を解消すべく立ち向かうのは「人類全体の世話人」と称されるおかしな父親と彼の謎かけに囚われたへんちくりんな家族、そして世界一有名なネズミとその背後で口述する「小さな世界」の創造者。(続)2015/01/11

erierif

20
一風変わった父を持つ4人の兄弟。悪趣味なユーモア、ダジャレ的な言い回し、注を見ながら会話を追うがどこまで理解できたかな?と心配になる。途中挿入されてくるウォルト・ディズニー、ネズミの話、ww2戦時下の日系アメリカ人(ニセイ)のエピソード…ホームドラマ的に進んでいるようで繊細に兄弟、父、母の心情を正確に文字に変えてトレースしていた。パワーズは家族や親密な人達との関係を描くのが上手い。繊細に気を使いあい愛の陽性の部分と同時に、相手の無神経さ鈍さ圧力など憎しみや妬みの陰性の部分も描く。(続2018/09/22

ソングライン

19
相手を信頼し黙秘を貫くのか、生き残るために相手を密告するのか、人が生きていくための究極の命題、囚人のジレンマ。発作が起きるたびに職を辞し放浪を続ける父エディ、彼の病気を心配する4人の子供たちが、父の失踪を切っ掛けに知ることになる父の過去とは。現在の家族、大戦時の父の過去、そしてウォルト・ディズニーの戦時中の日系人捕虜を巻き込んだ映画製作という3つの話が、交互に語られていく構成が、物語の理解に高い壁として立ちはだかります。人の生き方とは、文明とは、戦争とは何か。私は黙秘の生き方を選びたいです。2019/01/26

Ecriture

14
囚人のジレンマ。人は他者を信頼することが出来ずに、明らかに最良と思われるはずの行動を選択できない。また囚人を解放することは、同じ数の囚人を新たに収監することでしかない。世界は得体の知れない病で悪くなるばかり。膨大な数のジレンマのバリエーションが登場し、読者はいかなる行動にも移れない、何の選択もできない状態に追い込まれる。そんな中現れるミッキーマウス。ミッキーの想像力に導かれた人間は囚人のジレンマを乗り越えることができるのか。他者は信頼に値するか。個人は世界の病を治せるか。政治学的、社会学的にも優れた傑作。2009/06/02

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