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社会生物学論争史〈2〉―誰もが真理を擁護していた

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  • サイズ A5判/ページ数 p355/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622071327
  • NDC分類 481.7
  • Cコード C1040

出版社内容情報


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ウィルソンと彼の社会生物学に向けられた批判の多くは、たしかに公正ではなかった。しかし、社会生物学論争が、よく言われてきたように、ただの政治的動機による〈氏か育ちか〉論争でもないことは、本書に明らかである。科学者たちは、自分たちの科学について、真剣に戦っていたように見える――これは、四半世紀の道徳劇か?

科学の園のプランター対ウィーダー、善い科学の植えつけに励む科学者と、悪い科学の摘み取りに熱心な科学者の姿が照らし出される。ナチュラリスト対実験家、モデル化と実在主義など、さまざまな構図が影をおとす。自由意志と決定論、科学者の社会的責任、科学者共同体および社会からの認知を求める競争などの観点も導入される。そして、対立の核心へと著者の分析は迫る。

〈文脈、文脈、みんないつも文脈についてしゃべりたがる!〉インタヴューのこんな肉声も織り込みながら、初期にはIQ論争と、近年ではサイエンス・ウォーズとのあいだにある連続性を保ちながら進展した、長く苛烈な科学論争を本書は物語る。社会生物学論争の全容に初めて光があてられたのである。

全2巻

ウリカ・セーゲルストローレ(Ullica Segerstrale)
フィンランドに生まれ育つ。ヘルシンキ大学で有機化学・生化学を修めた後、科学社会学に専攻を転じ、1983年にハーヴァード大学でPh.D.取得。現在、イリノイ工科大学社会学教授、社会科学部主任教授。シカゴ在住。おもな編著にBeyond the Science Wars: The Missing Discourse about Science and Society (State University of New York Press, 1999), Nonverbal Communication: Where Nature Meets Culture (ed. with Peter Molnar, Lawrence Erlbaum Associates, 1997)ほかがある。

垂水雄二(たるみ・ゆうじ)
1942年大阪に生まれる。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。出版社勤務をへて1999年よりフリージャーナリスト。著書『やぶにらみ生物学』(ACORN、1985)ほか。訳書 ブロイアー『社会生物学論争』(どうぶつ社、1988)、ドーキンス『利己的な遺伝子』(共訳、紀伊國屋書店、1991)『遺伝子の川』(草思社、1995)『悪魔に仕える牧師』(早川書房、2004)、アーリック『トンデモ科学の見破りかた』(共訳、草思社、2004)、ハンフリー『喪失と獲得』(紀伊國屋書店、2004)ほか多数。

内容説明

ただの政治的“氏か育ちか”論争?いや違う。では、四半世紀の道徳劇か。善い科学と悪い科学、プランター対ウィーダー、ナチュラリスト対実験主義者、モデルと実在、そして対立の核心に迫る。

目次

第2部 社会生物学論争を読み解く(批判者たちの心のうち;科学の庭園における攻防;社会生物学論争のなかのハムレットたち;伝統の衝突 ほか)
第3部 科学をめぐる闘いの文化的な意味(社会生物学者とその敵―二五年後の棚卸し;論争による真実―社会生物学論争とサイエンス・ウォーズ;啓蒙主義的探求の解釈;科学的真理と道徳的真理の緊張関係 ほか)

著者等紹介

セーゲルストローレ,ウリカ[セーゲルストローレ,ウリカ][Segerstrale,Ullica]
フィンランドに生まれ育つ。ヘルシンキ大学で有機化学・生化学を修めた後、科学社会学に専攻を転じ、1983年にハーヴァード大学でPh.D.を取得する。イリノイ工科大学社会学教授、社会科学科主任教授。シカゴ在住

垂水雄二[タルミユウジ]
1942年大阪に生まれる。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。出版社勤務をへて1999年よりフリージャーナリスト
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ryosuke Tanaka

0
最後の「道徳的/政治的懸念が…原動力であり…そのゆえにこの分野はよりいいものになった」という視点における、「よさ」はいったい誰にとってのよさなのだろうか…2015/12/08

山像

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社会生物学論争は表面上は遺伝決定論者/環境主義者の対立(即ち「氏か育ちか」)に見えるが、背後にはナチュラリスト/実験屋、モデル屋/分子レヴェルの還元論、そして何より「何が道徳的・政治的に正しい科学か」という大きな対立が潜んでいることが丁寧に解き明かされていく。例えばドーキンスの著作には所謂アカデミズム左翼からの批判に懇切丁寧に対応する文章があるが、ドーキンスだけを読んでも何故ここに噛み付かれるのかよく分らない話でも、批判者の中では「何が正しい科学か」という譲れない一線を争っているということが理解できた。2015/02/14

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