内容説明
阪神大震災、9・11以後も新たに林立しつづける超高層。私たちはいま一度、根底的に住むことを問わなければならない。『乱歩と東京』『うわさの遠近法』『群衆』の著者による縦横無尽の建築原論。
目次
ちいさな緑のお家の中に、ちいさな金色のお家がひとつ。
「だァれがころした、こまどりのおすを」「そォれはわたしよ」すずめがこういった。
いきなりばんばら薮へとびこむと、眼玉がポンポンひんむけた。
ふたりの間中を、ちょとごらん、お皿はすべすべなめてある。
ねこがもうします。「お天気はどうでしょね」
ねてもねられずおおよわり、頭の髪毛もめっちゃくちゃ。
大きな木をきり、大きなその海にどしんとたおしたら、
おまけに、こっぴどくひっぱたき、ねろちゅば、ねろちゅば、このちびら。
もそっとおわんがしっかりさえしてりゃ、ここらでこの歌もきれやしまい。
一切空ちゅうおばあさんがどこかしらにござった。
むしゃむしゃ、がぶがぶ、ぐずりばば、ぶつぶつぶつぶつまだやめぬ。
さあきた、手燭がお床へおもあえをてらしにきた。さあきた、首切り役人がおまえのそっ首ちょんぎりに。
石だけぽっつりのォこった。たったひとりのォこった。ファ、ラ、ラ、ラ、ラルド。
それでも、どの面がいちばんおすきか、やっぱり御本人でおいいやれぬ。
お釘がへれば、蹄鉄うせる。
著者等紹介
松山巌[マツヤマイワオ]
1945年、東京に生まれる。東京芸術大学美術学部建築科卒業。作家、評論家。評論・エッセイ『乱歩と東京―1920都市の貌』(PARCO出版1984、ちくま学芸文庫1994、双葉文庫1999/日本推理作家協会賞)『うわさの遠近法』(青土社1993、講談社学術文庫1997、ちくま学芸文庫2003/サントリー学芸賞)『群衆―機械のなかの難民』(読売新聞社1996/読売文学賞)、小説『闇のなかの石』(文芸春秋1995/伊藤整文学賞)ほか
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- 和書
- ニーチェと哲学 河出文庫