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出版社内容情報
「われわれが偉大となり、もし可能なら、模倣しえないものとなるための唯一の手段とは、〈古代人〉を模倣することである。」(ヴィンケルマン)
受動的な物真似としてミメーシス(模倣)を退けるプラトン、産出的創作としてミメーシスを称揚するアリストテレス。固有性と非固有性、ピュシス(自然)とテクネー(技術、芸術)をめぐって古代ギリシアから遺贈された「模倣」という争点は、4人の近代人に深刻なダブル・バインドを課す。
いかなる固有性ももたない俳優のみがあらゆる者になりうる逆説によって、プラトン的ミメーシスを転換するディドロ。ギリシア人に固有のパトス(激情)が卓越したテクネーによって破滅した、という悲劇の論理によって、ついには「模倣不可能なギリシア」にいたるヘルダーリン。「実在しないドイツ」から出発して、プラトニズムを転倒し、能動的ミメーシスによる意志の形而上学に訴えるニーチェ。政治と芸術作品をポイエシスとテクネーによって結びつけ、アレーテイア(真理)の本質としてのミメーシスを思索するハイデッガー。
デリダやリオタールへの応答もまじえつつ、哲学と芸術と政治が交差する場面で、ヨーロッパ的知の起源(ミメーシス)を脱構築する、ラクー=ラバルトの主著、いよいよ登場。
Philippe Lacoue-Labarthe(フィリップ・ラクー=ラバルト)
1940年生まれ、フランスの哲学者。現在はストラスブール大学名誉教授。とくにミメーシスという斬新な視点からのヘルダーリンとハイデッガーの精緻な読解を起点にして、哲学と文学、哲学と政治、自然と歴史などの関係を脱構築する作業を展開しつづけている。主要著書として、Le Sujet de la philosophie,Metaphrasis,Poetique de l'histoite,Heidegger(La politique du poeme)などがあり、ジャン=リュック・ナンシーとの共著としては L'absolu litteraire,Le titre de la lettreなどがある。邦訳では『芸術家の肖像、一般』(白井健三郎・守中高明訳、朝日出版社)、『政治という虚構』(浅利誠・大谷尚文訳、藤原書店)、『虚構の音楽』『経験としての詩』(以上谷口博史訳、未來社)、ナンシーとの共著の邦訳として『ナチ神話』(守中高明訳、松籟社)、主要論文の邦訳として「崇高なる真理」(『崇高とは何か』所収、梅木達郎訳、法政大学出版局)などがある。
大西雅一郎(おおにし・まさいちろう)訳
1955年大阪生まれ。東京大学大学院博士課程中退、パリ第一大学留学、現在成蹊大学教授。フランス現代思想・文学専攻。訳書、S. コフマン『窒息した言葉』(未知谷)、J.-L. ナンシー『共同‐体(コルプス)』、同『哲学の忘却』、同『神的な様々の場』、同『共出現』(共訳)(以上、松籟社)、デリダ/ナンシー/ラクー=ラバルト他『主体の後に誰が来るのか』(共訳、現代企画室)、ルナン/フィヒテ他『国民とは何か』(共訳、インスクリプト)、デリダ『友愛のポリティックス』(共訳、みすず書房)など。
内容説明
ディドロ、ヘルダーリン、ニーチェ、ハイデッガー―「古代ギリシアの模倣」を思考した近代人の詳細な読解をつうじて、ヨーロッパ的知の起源を脱構築する。
目次
ディドロ
ヘルダーリン
ニーチェ
ハイデッガー
最後の哲学者
二人への語りかけ
著者等紹介
ラクー=ラバルト,フィリップ[ラクーラバルト,フィリップ][Lacoue‐Labarthe,Philippe]
1940年生まれ、フランスの哲学者。現在はストラスブール大学名誉教授。とくにミメーシスという斬新な視点からのヘルダーリンとハイデッガーの精緻な読解を起点にして、哲学と文学、哲学と政治、自然と歴史などの関係を脱構築する作業を展開しつづけている
大西雅一郎[オオニシマサイチロウ]
1955年大阪生まれ。東京大学大学院博士課程中退、パリ第一大学留学、現在成蹊大学教授。フランス現代思想・文学専攻
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