アーレント政治思想集成〈2〉理解と政治

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  • サイズ A5判/ページ数 309,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622070139
  • NDC分類 311.234
  • Cコード C3031

出版社内容情報

〈多くのひとが、全体主義を理解することなしに全体主義と闘うことはできないという。幸いなことにこれは正しくない。正しいとしたら、私たちの状況は絶望的だろう。理解することは、正しい情報や科学的知識をもつこととは違い、曖昧さのない成果をけっして生み出すことのない複雑な過程である。それは、それによって、絶え間ない変化や変動のなかで私たちがリアリティと折り合い、それと和解しようとする、すなわち世界のなかで安らおうとする終わりのない活動なのである〉(理解と政治)

いま生じている出来事に対する驚きを旧い言葉で封じるのではなく、それにふさわしい言葉の探求へとつなげてゆくこと――現代世界に向けたアーレントの〈理解への衝動〉とは、いかなるものであったか。本巻に収録した「人類とテロル」「全体主義の本性について」はじめ19篇からは、著者のそのような〈現在性の思考〉の軌跡が、くっきりと浮かび上がってくる。

全2巻 完結

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Hannah Arendt(ハンナ・アーレント)
1906年、ドイツのハノーファー近郊リンデンでユダヤ系の家庭に生まれる。マールブルク大学でハイデガーとブルトマンに、ハイデルベルク大学でヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに学ぶ。1928年、ヤスパースのもとで「アウグスティヌスの愛の概念」によって学位取得。ナチ政権成立後(1933)パリに亡命し、亡命ユダヤ人救出活動に従事する。1941年、アメリカに亡命。1951年、市民権取得。その後、バークレー、シカゴ、プリンストン、コロンビア各大学の教授・客員教授などを歴任、1967年、ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチの哲学教授に任命される。1975年ニューヨークで急逝。著書『アウグスティヌスの愛の概念』(1928,みすず書房2002)『全体主義の起原』1-3(1951,みすず書房1972, 1972, 1974)『人間の条件』(1958,筑摩書房1994)『ラーエル・ファルンハーゲン』(1959,みすず書房1999)『イェルサレムのアイヒマン』(1963,みすず書房1969)『革命について』(1963, 筑摩書房1995)『暗い時代の人々』(1968,河出書房新社1972)『過去と未来の間』(1968,みすず書房1994)『暴力について――共和国の危機』(1969,みすず書房2000)『精神の生活』上下(1978,岩波書店1994)他。

Jerome Kohn(ジェローム・コーン)編
1931年に生まれる。現在 ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチのハンナ・アーレント・センター所長。共編著に『ハンナ・アーレント――20年後』(1996)などがある。

訳者:
齋藤純一(さいとう・じゅんいち)
1958年に生まれる。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程単位取得。 現在 横浜国立大学教授。 著書『公共性』(岩波書店、 2000)、 『親密圏のポリティクス』(編著、 ナカニシヤ出版、 近刊)。 訳書 アーレント『過去と未来の間』(共訳、 みすず書房、 1994)コノリー『アイデンティティ/差異』(共訳、 岩波書店、 1998)ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』(共訳、 岩波書店、 2000)。

山田正行(やまだ・まさゆき)
1957年に生まれる。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程単位取得退学。政治思想専攻。現在 東海大学助教授。著書『西洋政治思想史II』(共著、新評論、1995)。訳書 アーレント『暴力について――共和国の危機』(みすず書房、2000)ハーバーマス『公共性の構造転換』(共訳、未来社、1994)。

矢野久美子(やの・くみこ)
1964年に生まれる。東京外国語大学大学院博士後期課程修了。学術博士。現在 フェリス女学院大学国際交流学部助教授。思想史専攻。著書『ハンナ・アーレント、あるいは政治的思考の場所』(みすず書房、2002)。


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アーレントの著書:
『ラーエル・ファルンハーゲン』
『アウグスティヌスの愛の概念』
『イェルサレムのアイヒマン』
『全体主義の起原 1』
『全体主義の起原 2』
『全体主義の起原 3』
『暴力について』

内容説明

現代世界に向けたアーレントの“理解への衝動”とはいかなるものであったか。「人類とテロル」「全体主義の本性について」「画一主義の脅威」はじめ、“現在性の思考”の軌跡を編んだ19篇。

目次

カール・ヤスパースへの献辞
ランドスクール講義
宗教と知識人
社会科学のテクニックと強制収容所の研究
ナチ支配の余波―ドイツからの報告
卵は声を挙げる
ヒトラーの食卓につく
人類とテロル
理解と政治(理解することの難しさ)
全体主義の本性について―理解のための試論
ハイデガー狐
共産主義を理解する
宗教と政治
元共産党員
エリック・フェーゲリングへの返答
夢と悪夢
ヨーロッパと原子爆弾
画一主義の脅威
近年のヨーロッパ哲学思想における政治への関心

著者等紹介

アーレント,ハンナ[アーレント,ハンナ][Arendt,Hannah]
1906年、ドイツのハノーファー近郊リンデンでユダヤ系の家庭に生まれる。マールブルク大学でハイデガーとブルトマンに、ハイデルベルク大学でヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに学ぶ。1928年、ヤスパースのもとで「アウグスティヌスの愛の概念」によって学位取得。ナチ政権成立後(1933)パリに亡命し、亡命ユダヤ人救出活動に従事する。1941年、アメリカに亡命。1951年、市民権取得。その後、バークレー、シカゴ、プリンストン、コロンビア各大学の教授・客員教授などを歴任、1967年、ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチの哲学教授に任命される。1975年ニューヨークで急逝

コーン,J.[コーン,J.][Kohn,Jerome]
1931年に生まれる。現在ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチのハンナ・アーレント・センター所長

斎藤純一[サイトウジュンイチ]
1958年に生まれる。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程単位取得。現在横浜国立大学教授

山田正行[ヤマダマサユキ]
1957年に生まれる。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程単位取得。政治思想専攻。現在東海大学助教授

矢野久美子[ヤノクミコ]
1964年に生まれる。東京外国語大学大学院博士後期課程修了。学術博士。現在フェリス女学院大学国際交流学部助教授。思想史専攻
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感想・レビュー

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chanvesa

11
「卵を割らずしてオムレツをつくることはできない」という言葉への疑義。「卵は声を挙げる」ではわからなかったが、「元共産党員」にこの言葉が出てきた時、「目的は手段の正当性を担保するものではない、それは欺瞞でないか?」という指摘かと思った。また論理性への批判は、他者との交流や経験による要素を排除し、単なる推論を信仰する孤独な頭でっかちが絶望へ至るルートに過ぎないことを指摘する(185頁)。これに対抗するには「構想力」(142頁)なのだろうが「武器化」が難しく、一昔前の「想像力」ブームのような「信仰」ではダメだ。2014/07/21

0
難解だが重要な論考が多い。どんどん『人間の条件』に近づいていく。ヨーロッパ連邦構想への微妙な態度とか、アングロサクソンびいきなところとか、ニーチェを意外とあんまり批判してない(ような気がする)ところとか、気になる。2017/09/05

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