ユキの日記―病める少女の20年 (新装版)

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  • サイズ B6判/ページ数 331p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622051374
  • NDC分類 916
  • Cコード C1047

内容説明

並々ならぬ文才の持主である一人の少女が八歳のときふとしたことから日記をつけはじめる。それから間もなく喘息という宿痾をえ、青春のほとんどを病床ですごさねばならなくなった彼女は、その眼をもっぱら自己と家族の内面へと向けだす。そして日々の克明な記録はノート六十冊分にも達する。しかし不幸にして彼女は心を病む。二十歳のときである。その後まもなく彼女は筆を折り、再び筆をとらず、数年後心不全のため世を去る。これは最後に主治医となった一人の医師が御家族の援助をえておこなった六十冊からの抜粋である。

目次

日記以前
大空しゅうの夜のこと(8歳9ヵ月~9歳10ヵ月)
ひゅうひゅう始まる(9歳11ヵ月~11歳2ヵ月)
なぜ神様は(11歳4ヵ月~13歳2ヵ月)
親愛なる友へ!(13歳2ヵ月~14歳2ヵ月)
ああメニュヒン!(14歳2ヵ月~15歳2ヵ月)
「お母様、お母様、お母様…」(15歳2ヵ月~16歳2ヵ月)
クルトウェス氏の手(16歳2ヵ月~17歳2ヵ月)
アメリカ人の神父様たち(17歳2ヵ月~18歳2ヵ月)
ひと気なし(18歳2ヵ月~19歳2ヵ月)〔ほか〕

著者等紹介

笠原嘉[カサハラヨミシ]
1928年神戸市に生れる。京都大学医学部卒業。精神医学専攻。名古屋大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くさてる

17
少女は幼いころに空襲を体験した。戦後の混乱と経済成長の時代を喘息の為にひきこもって暮らした。彼女はやがて精神の病の迷宮に迷い込んでゆき、ただもう恐怖と絶望のなかで泣き叫ぶような言葉のなかに落ち込んでいく。彼女がただひとつ、自分の心を打ち明ける存在として選んだ日記を読むことで、わたしはその少女の魂の震えに共感した。自分の心としか向き合うことが許されなかった女の子の、9歳から21歳までの孤独と成長と、それでも失われなかった瑞々しい感性が溢れている、厳しくも悲しい一冊です。2015/03/14

きたくり

5
◎1960年代に28歳で亡くなったユキの8歳から21歳までの日記。孤独な心の軌跡が克明に書かれている。後半は精神病によって理性を失っていく恐怖と哀しみが凄絶で、読んでいて苦しくなるほど。でもユキが持っていた孤独や苦しみの中からしか見えないものが絶対にあると思った。涙で頁が見えなくなった。一人の人の内面が書かれた、本当にすごい本だと思う。2011/02/18

2
共感できたりできなかったり。心情と文章の齟齬が限りなく少なくガツンとやられすぎて、途切れ途切れにようやく読了。誰かを信用できなくなる過程を見た。「私が孤独に耐えれば耐えるほど、孤独を大切にすればするほど、私は真実になる。私は私になる。私は二度と繰り返さないために、自分を確立しなければならない。」2016/06/07

ユッチー

1
綴られるのは何の曇りも無いまっさらな言葉たち。しかし、それ故に一つ一つがずっしりと重かった。2022/11/30

笹帽子

1
孤独、苦しみ、恐怖が克明。冒頭に編者が述べるように、発病遥か以前の子供時代から日記が始まっていることに意味があると思う。2013/03/19

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