エコノミーとエコロジー―広義の経済学への道 (新装版)

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 354p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622051060
  • NDC分類 330.4
  • Cコード C1033

内容説明

著者は、機械的・可逆的循環系としての狭義の経済学のパラダイムの現時点における本質的欠点を浮き彫りにするとともに、人間‐生態系についての新しい次元を含めた有機的・非可逆的開放系としての「広義の経済学」への止揚の道程を平明に示されている。

目次

社会科学における生命の世界―非生命系から生命系
エコロジーを求めて―経済学における分析視座の転換
エコノミーとエコロジー
アダム・スミス体系における農村と市場―『国富論』再検討の問題群
ドイツ経済学の伝統―空間と地域主義
ドイツ歴史派経済学再訪
ヘルシャフトとゲノッセンシャフト―組織原理に関する方法上の覚書
共同体とその経済学―一八世紀ダホメ王国とアリストテレス共同体論に関する素描
国家と経済―地域分権を求めて
宇野経済学の功績と限界〔ほか〕

著者等紹介

玉野井芳郎[タマノイヨシロウ]
1918年山口県に生れる。1941年東北帝国大学法文学部卒業。同大学助手、講師、助教授を経て、1951年東京大学助教授(教養学部)。1958‐60年ロックフェラー財団フェローとして米国ハーヴァード大学に留学、1960年経済学博士、東京大学教授。1969年および1973‐74年ドイツを中心にヨーロッパに遊学。1978年定年退官。元沖縄国際大学教授。東京大学名誉教授。1985年歿。専攻は経済理論および経済学史
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

山口透析鉄

30
私が実際に読んだのは市の図書館にあった旧版でした。1979年初版。 一応これでも某私学の経済学科にいたのですが、学生時代、どうもこういう方の講義はなかなかなくて、しょうがないんで岩波新書等を読んでサボっていたので、玉野井芳郎氏の碩学っぷりに、果たしてどこまでついて行けたかどうか……。 アダム・スミスやカール・マルクス等、いわゆる七大経済学でも再評価すべき事項には触れつつ、不足している点(エントロピー学会に通じる視点)をかなりきっちり述べていましたね。 旧来の経済学では不十分なので……(以下コメント欄に)2023/05/16

kaizen@名古屋de朝活読書会

16
「転換する経済学」から「エコノミーとエコロジー 広義の経済学への道」について、その本質的な価値が30年経過した、現在、ちょうど具体的に問われている事象が多い。 アメリカ流の利益至上主義の経営が、安全に対する無防備な体質を作ってしまい、ISO14000の審査登録が形骸化した状態で、本当に問われているのは広義の経済学であることが認識されはじめている。玉野井先生なきあと、オピニオンリーダの不在性が課題かもしれない。2019/08/07

4
タイトルの通り、経済と環境について示される。日を追うごとに拡大していく資源獲得競争は、国際的な関心ごととなっている。資源問題は常に変化しており、時代によって主要エネルギーは異なる。そこで作者は「科学が生態系を壊す」と主張し、自然生態系と人間活動の関係の枠組みから、資源をいかに持続的に確保しつつ、その中でどのようにして環境を保全するのかを説く。モノの生産と消費のサイクルを持続することが産業革命以降難しくなったが、世界の一部では脱工業化や省エネルギー産業等、新たな経済体制が構想されているのも見逃せない。2011/01/25

千日紅

2
経済学史を専攻する玉野井芳郎(1918-1985)先生による論文集。東大教授退官時に本書を出版。商品経済や市場経済のみを対象とした「狭義の経済学」を批判し、「広義の経済学への道」を模索する。アリストテレスの共同体論など難解な箇所があった。しかし、しばしば話題に出る玉野井先生が、どの研究者を理論的支柱にし、どういうところに興味があるのか、ぼんやりでも分かったのが良かった。2013/02/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/212086
  • ご注意事項