みすずライブラリー<br> 黒い皮膚・白い仮面

みすずライブラリー
黒い皮膚・白い仮面

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  • サイズ B6判/ページ数 323p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784622050285
  • NDC分類 316.8
  • Cコード C0310

出版社内容情報

植民地出身の黒人が白人社会で出会う現実の心理。皮膚の色に囚われた人間の意識を解き放つ衝撃作。

内容説明

黒い皮膚への偏見に身を貫かれた自らの生体験から、黒人と白人の関係を理解する試みが始まった。皮膚の色に閉じこめられた人間の意識を、鮮やかに抽出する。

目次

1 黒人と言語
2 黒い皮膚の女と白人の男
3 黒い皮膚の男と白人の女
4 植民地原住民のいわゆる依存コンプレックスについて
5 黒人の生体験
6 ニグロと精神病理学
7 ニグロと認知

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

6
フランス植民地下の黒人が、フランス語という「白い仮面」を付けることで何の変化を起こすのかを解析し、そこから生まれる問題を明らかにする本。著者の発言だと、人種としての「黒人」は存在せず、白人との比較によってのみ白人の定義する「黒人」が定められていると主張されている。そしてそれは、「黒人」に劣等感を生み出し、「白人」に優越感を与える。その最もたるものが言語であるところの「フランス語」であり、フランス語を取得することで黒人は白人に近づくことができるのだという。アイデンティティ・クライシスの問題に迫った名著。2011/02/12

Yukako Uehara

5
スピヴァクより読みやすい。 ただ、社会構造を意識して読まないと迷子になるかもしれない。私は沖縄県民だから、自分のアイデンティティや沖縄の社会構造をポストコロニアリズムで説明できるところがある、と知り涙が溢れてきた。どう足掻いても「植民地」なのだ、と。2017/06/02

Mealla0v0

5
ファノンは衝撃的な問いを発する。「なぜ黒人は白人になりたいのだろうか?」 なんということだろう! だが、本書の鋭いところは、そうした問いを生む植民地構造を問い質している点だろう。「黒人は白人とともにある」という言葉は、区別があって、区別された存在があるということ。ゆえに、白に閉じ込められているのは黒人であり、白人もまたそうなのである。▼ファノンが暴いた悲惨な黒人の精神は、しかし、日本人においてもそうではないのか。少なくとも、西洋を欲望する人々を見よ。ファノンのテクストは決して「他人事」ではないのである。2016/07/19

ふにゃ

4
先に著者の略歴を読んだ方が本書を理解できると思う。フランス植民地出身で、精神科医の著者が、自らの置かれたフランス人(白い皮膚をもった人)でもなく黒人(黒い皮膚をもった人)でもなく、その接触面にいる黒い皮膚と白い仮面を共に持った人たちのアイデンティティを分析する。/永山則夫がこの本を読んで感銘したというが……ファノンは経済的な階級によるアイデンティティクライシスについては否定的なように読めた……。いつか再読してみよう。2013/07/07

URYY

4
再読。これ読むといつも、〈女の皮膚・男の仮面〉というアレゴリーを思う。〈マルティニックの黒人〉も頭の中では〈名誉男子〉という言葉に変換されてしまう。ジェンダー考えるときにも参照してしまうくらい普遍性のある、自己認識論だと思う。そんな読み方は、歴史性無視しててよくないと思うけど、どうしてもそう思わされるのは、エッセーのような文体にも拠るのだろうなあ…。2012/03/31

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