大人の本棚
詩人たちの世紀―西脇順三郎とエズラ・パウンド

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  • サイズ B6判/ページ数 304p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622048404
  • NDC分類 902.1
  • Cコード C1392

出版社内容情報

「20世紀はパウンドの世紀である」と、アメリカの文学評論家ヒュー・ケナーはかつて喝破した。エリオットもジョイスもパウンドの強力な推輓によって世に出たことを思えば、これは十分に首肯できる見方である。そのパウンドが西脇の詩を読んで感嘆し、すぐさま彼をノーベル賞に推薦したのはかなり有名なエピソードである。東西のモダニズムの巨人がめでたく交差した瞬間である。

本書は、歴史と空間を自在に往来しながら、二人の生涯と詩的発展を詳細に、堅苦しくなく逸話も満載して語った、ユニークな評伝である。孔子を核に東西文化の融和を志向したパウンドに、老荘に惹かれた西脇。これはまた、一種の壮大な現代詩入門でもある。

「今はしかし/唐の詩人のように城外に出て……はてしない存在/を淋しく思うだけだ」(「自伝」)

シリーズ《大人の本棚》



新倉俊一(にいくら・としかず)
1930年生まれ。慶應義塾大学卒業。フルブライト留学生としてミネソタ大学大学院に留学。明治学院大学文学部名誉教授。著訳書『西脇順三郎全詩引喩集成』(筑摩書房)、『西脇順三郎 変容の伝統』(東峰書房)、『エズラ・パウンド詩集』(角川書店)、『エズラ・パウンド詩集』(小沢書店)、『アメリカ詩の世界』(大修館書店)、『エミリー・ディキンソン 不在の肖像』(大修館書店)ほか。

内容説明

20世紀はジョイスでもエリオットでもなく、まさに「パウンドの世紀」であると、ヒュー・ケナーは喝破した。そのパウンドはかつて西脇の詩を称揚して、この『あむばるわりあ』の詩人をノーベル賞に推した。これら二人のモダニズムの巨人に精通する著者は、それぞれの生涯と詩的発展を詳細かつ具体的に辿り、そのグローバルな詩的照応と魅力を明らかにする。ホメロスと老子、ダンテと芭蕪、ペイターとジョイスなど、世界文学の中で自らの詩的世界を構築した二人の大詩人を中心に展開する詩的饗宴にして現代詩入門。

目次

第1部 変革の詩学・一九〇八‐一九三三(プロローグ・近代詩と渡欧者たち;西脇の留学まで ほか)
第2部 近代の超克・一九三四‐一九四五(パウンド、古典と近代;近代の超克論争と日本回帰 ほか)
第3部 東洋と西洋の融合・一九四六‐一九八二(戦後詩のトポス;「見立て」の手法 ほか)
第4部 パウンドの世紀・詩と反響
第5部 ユリシーズ、私の「ユリシーズ」?―『キャントーズ』への案内

著者等紹介

新倉俊一[ニイクラトシカズ]
1930年生まれ。慶応義塾大学卒。フルブライト留学生としてミネソタ大学大学院に留学。明治学院大学文学部名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まろすけ

4
んー、面白かった!詩を愛し、信念を戦わせた詩人たち。詩史を学べつつ、各々の人柄や事件が物語のような読み心地。この時代だからなのか、登場する人たちの生き様がだれてない感じで、現代人の僕からすると少しうらやましい(その分当時よりも濃い平和を享受させてもらえているけれど)。パウンドの社会的正義に感銘したギンズバーグの、パウンド評が好きだな「以前の文化の常識を疲弊した情緒で繰り返す~ことをしない、ホイットマン以来アメリカで新しい様式を開拓した詩人」。情のこもった真の敬意は言葉ににじむ。刺激多く楽しい読書でした。2020/04/28

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