大人の本棚
小沼丹 小さな手袋/珈琲挽き

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  • サイズ B6判/ページ数 264p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622048251
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C1395

出版社内容情報

「小説もいいし、随筆もいいという作家はそんなにいない。先ず浮ぶのは井伏鱒二。その次に、学生のころから井伏さんが好きで師事していた小沼丹がいる」。

「何がそれほど惹きつけるのか。何が親しみと共感のうちにやがて深い喜びと安らぎをもたらすのだろう。誠実味だろうか。腕白とユーモアだろうか。決して愚痴をこぼさない男らしさだろうか。詩的感受性の細やかさだろうか。東西の文学、芸術から吸収して当人の気質に融け込ませてしまった教養の力だろうか。悠々としているところだろうか。つまるところは才能というほかないのである」。(庄野潤三)

シリーズ《大人の本棚》

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小沼 丹(おぬま・たん)
小説家、英文学者。1918年東京生まれ。1942年早稲田大学英文科卒業。早稲田大学名誉教授。日本芸術院会員。1996年歿。

庄野潤三(しょうの・じゅんぞう)編・解説
1921年大阪府生まれ。九州大学東洋史学科卒業。1955年『プールサイド小景』により芥川賞受賞。1961年『静物』により新潮社文学賞受賞。1965年『夕べの雲』により読売文学賞受賞。日本芸術院会員。

内容説明

庭の大木と小鳥たち、木洩れ陽あふれる散歩道、多くの友。おだやかでユーモアにじむ筆致のなかに浮かび上がる、遠い風景と澄明な時。

目次


喧嘩
小さな手袋
地蔵さん
コタロオとコヂロオ
長距離電話
後家横丁
断片
井伏さんと将棋
複製の画〔ほか〕

著者等紹介

小沼丹[オヌマタン]
小説家、英文学者。1918年東京生。1942年早稲田大学英文科卒業。早稲田大学名誉教授。日本芸術院会員。1996年没

庄野潤三[ショウノジュンゾウ]
大正10年(1921)、大阪府生れ。九州大学東洋史学科卒。昭和30年『プールサイド小景』により芥川賞受賞。昭和36年『静物』により新潮社文学賞受賞。昭和40年『夕べの雲』により読売文学賞受賞。日本芸術院会員
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アン

101
ささやかで愛おしい日常のひとコマをそっと伝えてくれる素敵な随筆集。赤い毛糸の可愛い「小さな手袋」、友人との不可解な「長距離電話」、間違えられた「蝙蝠傘」、借手の無い「巣箱」、仏蘭西のお土産「珈琲挽き」など61篇。人生の喜びや悲哀を親しみやそこはかとないユーモアを滲ませ、旧かな遣いで紡がれる柔らかな文章に心が安らぐよう。学生時代の友人との交流、酒場でのふとした出来事、四季折々の庭の風景がふわりと浮かび上がり緩やかな時が流れ、しみじみとした余韻が響きます。淡く懐かしい想い出を大切にしたくなる味わい深い一冊。 2022/01/02

KAZOO

41
読んでいてゆったりとした気分が味わえます。久しぶりに随筆らしい随筆に出会ったような気がしました。今の時代にはあまり受け入れられそうもない感じですが。これは、表題の随筆集からいくつか選んで入れたものだと思いますが原本を読んでみたくなりました。2015/02/06

ぞしま

16
なら漬を食べて二日酔いになる狆の話しのおかしさが、どこか自分に残るのだろうというその一点だけでも読んで良かった。「小さな手袋」も至極良かった。読後から2カ月近く経ているので、思い出せないが他にも素晴らしい文章があったと記憶する。武田百合子が好きな人は相性が良いと思います。井伏愛、庄野愛も感じる2018/03/15

あ げ こ

14
とても気持ちのよい文章。何とも言い切り難く、掴み尽くせず、けれど何か、長閑で、いいなあ、と思う。何となくそうであった事、何となくそうなってしまっていた事。ふと始まり、ふと終わってしまう。可笑しさも、苦さも、寂しさも、楽しさも、ふうわりと、漂う。いずれも今はもう、どこにもない類のよさであるし、あったとしても、非常に見つけ難い類のものであるように思う。速さや正確さと言うしがらみを失い、ぼんやりと、何かを捉える訳でもなく、あたりを眺め、寄り道をしながら、手探りのまま、歩く事にも似た。楽しさであり、気持ちのよさ。2019/08/29

きゅー

14
それにしてもこの人、やたら酔っ払っている。しかもここでの”酔っ払う”とは前後不覚になるという意味だから、家人としては小言の一つでも言ってやりたくなるだろう。酒の席での失態を自嘲気味に訥々と話すユーモラスな文章の反面、静かで味わい深い文章も多い。彼の文章の対極にあるのは騒々しさや生真面目さ、厳しさだろうか。多くの人が言うように、彼の作品は年を取ってから再び読み返したくなるのかもしれない。今よりも経験をつんだ証には彼の作品が包み込んでそっと隠しているものにより迫ることができる、そんな気にさせてくれる。2012/05/25

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