読書の首都パリ

読書の首都パリ

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  • サイズ B6判/ページ数 329p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622046608
  • NDC分類 023.35
  • Cコード C1095

出版社内容情報

19世紀フランス文学をとりまく出版と読者の空間を、新資料を引きながら闊達に描く書物の文化史。

内容説明

活字メディアの世紀、フランス小説をとりまく都市空間と出版市場の動態を、バルザック、ゾラ、フロベールを軸にして闊達に描き出す、意欲的な書物の文化史。

目次

期待の地平をあけること―ゾラ『居酒屋』を読む
知られざる「新聞小説」―『パン運びの女』
作家・報酬・文壇―エミール・ゾラの場合
発明家の苦悩―バルザックとブッククラブ
夢想の送り手としての貸本屋
パサージュのなかの本の風景
手すりの上の緑の箱
居酒屋というカウンター・カルチャー
本の密猟者エンマ―19世紀フランスの読書する女
ハネムーンの大切さ―フロベール『ボヴァリー夫人』再読
美のサブリミナル効果
マンダランを殺せ―バルザックからエッサ・デ・ケイロースへ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

384
パリの書店といえば、シェイクスピア・カンパニーなどの有名書店もさることながら、私たちが真っ先に思い浮かべるのはセーヌ河畔に軒を並べるブキニスト(屋台の古書店)ではなかろうか。今ではすっかりパリの風景に溶け込んでいるばかりか、それを代表するものでさえあるだろう。パリでの貸本屋は19世紀前半の「読書クラブ」の伝統に繋がるようだ。一時期はあちこちのパサージュにこうした店舗があったらしい。今も時々、パサージュにいかにも由緒がありそうな古書店を見かけるし、あれもまたパリらしい風情を醸し出している。2022/02/10

棕櫚木庵

20
1/3)ゾラ,バルザック,フロベールらを通して,19世紀パリの出版,読者,さらには社会が論じられている.従来の読書クラブの拡充に加え貸本屋や新聞小説によって小説が「商品」として消費されるようになった時代,これらの作家がどのように対応したか.また,新たな読者はどのようにして小説を受容したか.有名な“河岸の古本屋”も,このような視点から論じられている.“売れる小説が良い小説”,いや“程度の低いくだらない小説”という評価の分裂もこの時代に始まると言う.▼ゾラやフロベールの作品論としても面白かった.2022/11/19

ラウリスタ~

12
第一部では作家と出版の金をめぐる関係、第二部では貸本屋や古本屋などの読書空間について、第三部はちょっとバラバラなテーマ、の小論をまとめたもの。半分はゾラについて。90年代、日本でゾラがまだブームになる以前に、専門家ではない宮下志朗がかなり面白い論点を次々と発見していく。特に『居酒屋』のグットドール地区を扱った1本目の論文は、すごく面白い。読書クラブについての箇所では、男は公共空間で新聞を、女は詩的空間で小説を(現在でいうハーレクイン物)という固定イメージの存在を示す。フロベールとコレの、鉄道での不倫に興味2020/05/27

ロピケ

5
そういえば、フロベールやゾラについて書いた本って、読んだこと無かったな。バルザックやデュマについては鹿島茂さんの著書で読んだことあったけれど。(『パサージュのなかの本の風景』の最後に出てくる「一九世紀のパリに詳しいK」とは、鹿島さんでは…と踏んでいるのですが。)フロベールの『ボヴァリー夫人』の「シナリオ」やゾラの「取材ノート」は本当に面白そう。深読みのしどころが満載だろう。著者の目の付けどころに感心した。「ハネムーン」と『ボヴァリー夫人』の考察や「マンダラン殺し」の考察など、そうだったの!と目を開かされた2011/05/19

志村真幸

3
 『みすず』『図書』『月刊百科』『すばる』などに発表された12篇が収録されている。  19世紀フランスの出版文化をテーマとしており、貸本屋やブッククラブ、ぞっき本的な世界、原稿料と印税といった話が並んでいる。いずれも「読書」行為と密接に結びついたもので、当時のフランス人がどのようにして本にアクセスし、読んでいたかがよくわかる。  ただ、内容はあまり整理されておらず、アイデアとエピソードの提示に留まっている。  著者のもともとの専門が中世ということもあるのだろうが、本書だけではきわめて物足りなく感じた。2021/12/25

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