南方郵便機

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  • サイズ B6判/ページ数 175p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622045212
  • NDC分類 958
  • Cコード C0397

出版社内容情報

行動と根付き――背反する二つの世界に引き裂かれる主人公に若き日の作者の姿が重なる処女作。
特別付録 シモーヌ・ド・サン=テグジュペリ「アントワーヌ、わが弟……」

全7巻完結

内容説明

「ぼくは泉を見つけ出した。おぼえているかい?それはジュヌヴィエーヴだ…。」フランス=アフリカ定期路線を飛ぶ郵便飛行士、ベルニス。見かけだけの安全な日常からの脱出を夢みた彼は、隠された宝を探し求めて杖をさまよわせる“泉の占者”にみずからを例えて、彷徨をつづける。飛ぶことと根付くこと、浮遊と居住という両立し難い二つのものの間で引き裂かれるベルニスは、世界と人間とを和解に導く「住まう者」ジュヌヴィエーヴを求めるが、二つの世界の隔たりは埋められることなく、悲劇的な結末へと向かっていく。サハラの中継基地キャップ・ジュビー飛行場長時代に書かれたこの処女作は、自身の飛行の体験が熟成されて、サン=テグジュペリ独自の思索へと向かう途上にあり、みずからも背反への不安をかかえて方向を模索していた若き日の作者の姿を映し出し、以後の作品にはみられない若い魅力に満ちている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

スイ

8
浪漫だなぁ、と思う。 飛行機も女も。 いずれも求められているのは実際の存在ではなくて、自己の投影。 美しい文章で、整った作品だと思うのだけど、妻コンスエロの随筆を読んだために生身の生活がチラついてしまって、適度な距離を取れなかった。 時間を空けて再読したら、もっとじっくり浸れるかも。2017/05/16

ちぃ

8
サン=テグシュペリの処女作。地上でのあれこれは、ちょっと読みにくさを感じたのだけれど、エルランとジュヴルヴェーヌの口論のシーンには、感じるものがあった。そして、やはり、空に出てからの描写には、ほんとうの飛行機乗りにしか書けない美しい描写で溢れているが晩年の作のようには大成しきっていないどこか手探りの感が印象的だった。大学の近くに同じ名前の喫茶店があったな。また行きたいな、と思って調べてみたら名前変わったのか、そうか。2016/08/10

SD

7
かなりサン=テグジュペリの本も読んできたなぁ。この本の感想は、「惜しい!」の一言冥利に尽きる。何故惜しいのかと言うと、魅力的な男女の間で育まれるロマンス、それが叶わぬ結末、と主題は非常にダイヤモンドの原石だからである。ジュヌヴィエーヴは物憂げな女性。男はこの手の人妻に弱いんだよなぁ(笑)。ベルニスは情熱的で好感が持てる。しかし恋は叶わず女は病気で、男は空に散る。問題なのは時間軸を複雑にしすぎた構成で、非常に読みにくくわかりづらい。これだと読者は掴めないな。この本から宮崎駿『紅の豚』と新海誠作品を想起した。2021/08/15

NORI

1
「星の王子様」で有名なサン=テグジュペリの処女作。 抒情的描写は、のちの夜間飛行や星の王子様に通じる。パイロットとしての語りより、やや恋愛要素強め。

PETE

1
不勉強なのでこの著者の小説を知らなかった。ラディゲとヘミングウェイ・サガンの間の段階の小説?少年時代と青年時代のパリの時間・空間の対比に対して、飛行士の時間・空間の描写(これはアン・モロー=リンドバーグが秀逸)が乏しくて、ベルニスの飛行機事故を必然づけるプロット(当時の郵便機のブラック労働くらい?)もなくて、訳者も評しているように恋愛小説の側面だけが重く出てしまう。作者の姉による回想録は明らかに余分。明らかに伝統的なフランス人の友を得るということの意味を引きずりすぎている。2022/01/01

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