出版社内容情報
非ヨーロッパ圏の(Ⅰ)に続いて、ヨーロッパ、南北アメリカ、ロシア圏をブリリアントに考察する。
内容説明
「我々自身に、ヨーロッパに、その洗練された輝かしい文明に立ち戻ろう」。非ヨーロッパ世界考察に続いて、アナール派の泰斗が、リセの学生に向けてブリリアントに開示するヨーロッパの貌とは。
目次
3 ヨーロッパ文明(ヨーロッパ;アメリカ;もうひとつのヨーロッパ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
神の区切りを表す年表と人間の出来事に沿う年代記を合成し、神の区切りを時間の数直線と捉える市民社会の合意を通して、抽象的な時空を作ったトップダウンの歴史に対して、著者が自然の長期変動から始めることは、徹底したボトムアップの態度だったと本書を読むと感じる。中世7学科の最下層である文法が表題の本書は、西洋中心の歴史に逆行して非西洋文明から始め、キリスト教の流通として西洋文明を描き、そのバージョンとしてアメリカ、ロシアへ目を向ける。そこには西洋はすでに世界の中心ではないという戦後に対する著者の意識が反映している。2020/06/17