全体主義の時代経験

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  • サイズ B6判/ページ数 198p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622030744
  • NDC分類 309.8
  • Cコード C1030

出版社内容情報

安楽の全体主義に向かう世紀末日本。20世紀史への深い洞察の眼差しで社会的大変化を見すえる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

双海(ふたみ)

20
大学図書館でもらった本です。「かつての軍国主義は異なった文化社会の人々を一掃殲滅することに何の躊躇も示さなかった。そして高度成長を遂げ終えた今日の私的「安楽」主義は不快をもたらす物全てに対して無差別な一掃殲滅の行なわれることを期待して止まない」 2015/06/08

masabi

12
生活の場における全体主義が社会を覆い尽くしている。すべてが画一化され、総力戦により戦闘員と一般国民との違いも消滅し、あとは消耗するだけでしかなくなった。全体主義を難民の拡大再生産と定義し、法体系から追放することで国内の同一性を保つ。この殲滅の姿勢は日常生活から不快を乗り越え喜びを享受するのではなく、不快の根源を取り除こうとするものに通じている。日本人は好奇心、他者を受け入れる心に欠けている。2014/12/03

白義

9
藤田省三はどうにも強さを感じる思想家だ。システムの支配により安楽を提供され意思を失う安楽の全体主義と、政治的に難民や死者を生産する死と暴力の全体主義、そのどちらにもこれだけ決然と口調で静かに抗った思想家はいないのではないか。戦後民主主義のうち、個人の人間美学とでもいえるものの最良の部分を受け継いでいるように思う。文体こそ穏やかだが、反骨の意志、孤高の姿勢が渋い。二つの全体主義論は戦後思想が生んだ珠玉の現代文明批評である2012/07/10

みもざ

1
真偽の質的違いは、問題の立て方・在り方の中にこそある。解答や解決の分野は、真偽より美醜の別が優先することがあり、虚偽がしばしばまかり通る。メモ。2014/04/15

denz

1
苦難をこえて獲得した「幸福」ではなく、「不快」そのものを感じさせなくさせる社会状況をつくっている「安楽」の全体主義。多くの者が「良いもの」とすることへの警鐘を鳴らす。附録のインタビュー、鼎談を先に読むと難解な文章の意味をとれる。2011/04/12

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