出版社内容情報
現代の言語学展望、ソシュール、統辞論など、現代言語学の最新の課題を追求した、碩学の主著。
内容説明
現代言語学の雄、エミール・バンヴェニストの代表的論文21篇を収めたものである。最近の言語理論に関する簡潔な展望からソシュールの歴史的意味、コミュニケーションの問題、構造と分析、さらに統辞機能、語彙と文化まで、現代の言語学をめぐる“諸問題”をあつかっている。
目次
1 言語学の変換
2 コミュニケーション
3 構造と分析
4 統辞機能
5 言語における人間
6 語彙と文化
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
10
言語学の枠組みを名乗りながらアリストテレス存在論を解体したり精神分析理論に挑んだり分析哲学を拡張したり文化人類学の贈与論を追いかけたりと、ほとんど思想の自由な展開。フロイトが論じた否定は「でもそれは母じゃないと思います」という仕方でまず肯定形の何らかの文章Aが前提された上でAの否定を言語化している、夢や無意識は棒=性器などという象徴体系よりもむしろ文体およびレトリックの構造を持っているといった指摘は、ラカンの思考に流れ込んでいく。主語が過程の行為者でかつ同時にその座の内部にいる中動態を分析した論考も収録。2019/11/17
Z
9
諸問題とあるように、統一したテーマがあるわけではなく、今までの論文を集めたものなので、統一的な目的で書かれた著作も読みたいが、各論鋭い。各論あくまで言語学者として禁欲的に仕事しているので、その応用的な側面たるフランス思想読むための最低限の知識がつまった良書。体系sytemと構造structureの違い。systemは集合に近く、要素の全体を定めたのち要素間の関係として、同一レベル間の関係、異なるレベル間での関係を定めることがstruture。歴史/物語イストワールと話、言説、ディスクールの違い等宝の山。2016/03/24
べっか
2
「代名詞の性質」「ことばにおける主体性について」の2論文が特に良い。《わたし》という主辞の現存と、《わたし》が話しかける《あなた》の現存について。日本語は、《わたし》も《あなた》も発せられず曖昧に文言から姿を隠されることが多いけれど、ときおり聞くことができる《わたし》と《あなた》の瞬間を思い起こし読んだ。まさにその時でしかありえない現存ということ。2019/12/25
あだこ
1
ことばと言語を分けて、ことばのもつ範疇論を中心にソシュールを超えようとしたと理解していいのだろうか。難しい。「ことばの主体性」の論文はわかりやすくて面白かった。2009/06/25