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内容説明
「女性が小説なり詩なりを書こうとするなら、年に500ポンドの収入とドアに鍵のかかる部屋を持つ必要がある」経済的自立と精神的独立を女性の創造活動に不可欠の条件とするこの主張は、誰にも容易に理解できるものであろう。しかし、この長篇エッセーの持つ魅力は、ウルフがこの結論に至ったプロセスを、丹念かつ率直に辿ってゆく、その軽妙・辛辣な語り口にある。想像力の翼にのったウルフの知的飛翔はとどまるところを知らない。愉しく巧みな話の流れに引きこまれて、読者はいつの間にか彼女の論旨、すなわちその家父長制批判と、女性の手になる文学伝統の継承を納得することになる。本書は、「フェミニズムに霊感を得た彼女の最も才気溢れる作品の一つ」(E.M.フォースター)である。