テクストの快楽

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  • サイズ B6判/ページ数 160p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622004714
  • NDC分類 957

出版社内容情報

テクストと快楽・悦楽との関係を、アフォリズムに似た断章のかたちで探求する、刺激的な書物。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

長谷川透

21
言葉は様々な形で我々の前に姿を現す。文字の形で、声の形で。文字が声になり、又は声が文字になることもある。言葉の集積はテクストとなり、テクストは読者を介して物語となる。テクストはテクストとなった時点で書き手からは切り離されたものになる。所謂「作者の死」だ。テクストの中で作者は死の前に読むことの快楽を残す。『テクストの快楽』はバルトが残した難解な書物だ。わからない箇所が何か所もあったが、喰らい付くように読んだこの経験はまさに快楽だった。難解だが有難いことにバルト自身が解釈の自由を許してくれているから気は楽だ。2013/04/07

とみぃ

17
「それ(テクストの快楽)はストリップ・ショーや物語のサスペンスの快楽ではない。この二つは、いずれの場合も、裂け目もなく、縁もない。順序正しく暴露されるだけである。すべての興奮は、セックスをみたいという(高校生の夢)、あるいは、ストーリーの結末を知りたいという(ロマネスクな満足)希望に包含される」。テクストの快楽が何なのかは良く分からないけど、何で無いのかは相応に分かり良く書いてあったりする。「悦楽の特質は語り得ない所にある」のだから仕方ない。どうしたら読書で感じることができるのか、その夢が掻きたてられる。2021/03/26

きいち

16
白川静『孔子伝』と並行して読んでいたので、この本が『論語』に見えて仕方がなかった。こちらが書かれたもの、読むことの愉しみとすれば、論語のほうは学ぶこと、習うことの愉しみ。一つのストーリーに固着することからの徹底的な逃げ。「垂直の大騒ぎ」。敵だけが、決まっている。自然を変貌させることを望まない世論。いつも同じ言葉を用いる定義。瞬間瞬間とりあえず必要だったとしても、それにしがみついていては、「学ぶこと」はできなくなってしまう。「自分の巣をつくる分泌物の中で自分自身溶けていく蜘蛛」であること。危険で、愉しい。2013/05/01

あ げ こ

13
〈(快楽/悦楽。用語はまだ確定していない。私も間違え、混乱する。いずれにせよ、いつまでも曖昧な部分が残るだろう。…意味はすぐに取り消されたり、取り替えられたりするだろう。…)〉断片。官能的な戯れ。熱情の痕跡の破片。間違え、混乱する、ある時は重なり、ある時は対立する、その曖昧さの内にて遊ぶかのよう。いつまでも定めず、定まらず、定め得ぬその曖昧さをこそ楽しむかのよう。その都度断定はする。けれどすぐにそこから離れてしまう。一時も、一箇所にもとどまりはしない。常に転位し続ける。時には翻意するようなことさえ言う。2021/11/06

学び舎くるみ

12
『いつもそばには本があった』で國分功一郎さんが退屈と暇に関する本として紹介していたので読んだ。退屈そうな部分を斜め読みしたり、抜かしたりするよね!?みたいに書いてあってプルーストやバルザックを、読むたびに、決して同じ箇所はとばさない、ですって。笑える。快楽と悦楽、リアルとフィクションについてしっかり書いてあって、今日の読書会での菊地成孔さんの小説とトークショーを思い出つつ読んだ。2019/03/31

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