内容説明
ひさびさに家族全員揃った日曜日の夕方、ちょっと照れくさくなったお父さんが、日曜日には夕刊がないことを知りつつ「えーと、夕刊は…」なんてつぶやいてしまう、そんな気持ちにささやかなエールを贈らせてもらいます。現実の夕刊が哀しいニュースで埋め尽くされているからこそ、小さな小さなおとぎ話を、12編。微笑んでいただくための短編集です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
84
初期の重松さんが好きでたくさんの本読んだ気がする。重松さんの書く小学生や中学生の理不尽な悲しみややり場の無い苛立ち、そこから抜け出す強さや周りの温かさに何度も涙が溢れた。が、これは今一つ。負や陰の部分を描くことで明るい未来が際立つのだろうが、嫌な想いが先立ってすとんと胸に落ちる感じがなかった。こちらが年を取った事が関係すると思われる。経験値が高くなると身近な話は「当たり前にあること」になる可能性が高い。インドア派の父子がキャンプに行く話は他でも同じ設定の物語を読んだ気がするなぁ。残念だが重松離れは進む。2019/09/09
☆よいこ
67
短編12[チマ男とガサ子][カーネーション][桜桃忌の恋人][サマーキャンプへようこそ][セプテンバー'81][寂しさ霜降り][さかあがりの神様][すし、食いねェ][サンタにお願い][後藤を待ちながら][柑橘系パパ][卒業ホームラン]アイテム古いけど、いい話ばかり。試験で見たことあるかも▽小学5年生の教科書に重松清が載ってて、今度作者読みの指導をしたいとのこと。確かに教科書的で、短編素晴らしいけど、うちの5年生にはレベル高くない?とか思って紹介できるものを探し中。2020/07/25
達ちゃん
55
重松さんいいな~。ほっこりとあったかい気持ちになりました。ベスト3は「チマ男とガサ子」「カーネーション」「さかあがりの神様」です。2018/03/02
b☆h
35
重松清はやっぱり凄い、と改めて感じた。父親像が本当にリアルで、父親でいて子どもの延長にある。それが、歳を重ねる度によく分かる。私は男ではないし、子どももいないし、描かれてる時代も少し違う。それでも、どうしようもなく共感出来る部分がある。多分、父親を知ってる人なら誰しも感じるところがあるんじゃないだろうか…しかも、短編でこれだけ描けるというのが本当に驚きだ。物悲しさや、やるせなさが漂うなかで、そっと心に火が灯るような気持ちにさせてくれた。〝そうだけど、違うんだ〟を、ちゃんと言葉に出来るようにしたいなと思う。2022/04/29
まさと
35
こころがポッ!となる、暖かい物語を集めた短編集。優しい笑顔になれる話しばかりだったのに、最後の最後で、やっぱり泣かされた…。家族のことをもっともっと大事にしようと思える、いい物語。とても楽しめました。2013/11/27