扶桑社ミステリー
失われた男

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  • サイズ 文庫判/ページ数 391p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784594051853
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

町の新聞社に勤めるブラウンは、頭も切れ、自信満々コラムを書きながら、詩作にいそしむ男。だが、なにやら秘密をかかえているらしい。そんな彼の日常を大きく変える女たちが登場する。出奔して娼婦となった妻、美しい未亡人、そして都会からの意外な訪問者―突然暴力を爆発させ、非道な犯罪を重ねていくブラウン。しかし、世間を揺るがす巧緻な殺人劇は、予想もしない罠に飲みこまれていく…トンプスン作品の中でも、傑作の誉れ高い驚愕のノワール、文庫オリジナルで登場。

著者等紹介

トンプスン,ジム[トンプスン,ジム][Thompson,Jim]
1906年生まれ。職業を転々としながら作家活動をつづけ、42年に初長編を出版。49年に犯罪小説に転じ、その後、ペイパーバック・オリジナルを書きとばす。50年代なかば、S・キューブリックの映画製作にかかわる。小説が斜陽となると、TV脚本にも従事。作品がすべて絶版の状態で、77年に死去。死後、ようやく作品の再評価がはじまった

三川基好[ミカワキヨシ]
1950年生まれ。早稲田大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ノコギリマン

44
ジム・トンプスン。『おれの中の殺し屋』につづいて二作目。一言で言うと、シビれた。『おれの〜』のルー・フォードもしかり、今作の主人公ブラウニーも「あいつ邪魔だなー。よし、殺そう」っていうシンプルな考えの鬼畜。頭の中に爽やかな悪意をどんどんぶち込まれてフラフラクラクラ。最後の最後、二重三重に張り巡らされた『失われた男』の意味に、ボクはみごとノックアウトしました。最高すぎてたまらん。しばらくはトンプスンの本を集めることにしようかしらん?2015/08/06

スパイク

18
一日たりとも酒を抜いたことがないどころか12時間飲まないでいることが最高記録になるほどの本物のアル中の物語。本物ですから当然のように、ブラックアウト(アルコール性記憶障害)をたびたび起こす。物語のところどころにブラックアウトのトンネルがあってそのなかで何が起こったのかは(語り手自身が憶えていないのだから)当然のように、読者には知らされない。男は”失われたもの”のことを考えずにいるため酒を飲む。”失われたもの”とアルコールが次第に身体を蝕み、やがて虚無が男を喰いつくしてしまう。当然のように、なにも残らない。2015/03/05

Yuji

13
トンプスンの語る救いの無い話に、私は今回深刻な精神的ダメージを受けた模様。同じ展開で油断していたら、違う角度からナイフが出てきました。キツイ。きついわー。小説読むの怖くなりました。ちょっとしばらく、読書メーターも間が空きそうです。。2016/09/26

lovemys

9
始めの3行を読んで、マズイ。しっかり握ってないと振り落とされるぞ(汗)と思った(笑)踏ん張って読み進めていったら、知らないうちにまたまたイッキ読みですよ(笑)出だしはちょっと狂ってる?と思われたブラウンも、中盤に来て一気に共感し、最後には涙を搾り取られた。まさに、心の中の何かをギューッとやられた感じ。切なくて、むせそうだった。どことなくブラウンに纏わりつく悲しみや悲壮感がこちらにも伝染し、彼の心の中の虚無感をジワジワと共感してしまい、最後には一緒になって溺れそうだった。トンプスン、スゴイ。言葉にならない…2014/12/01

タナー

7
1ヶ月ほど前に初めて触れ、ジム・トンプスンの完全にハマってしまった。これでトンプスン作品も7作目となった。読む度毎に驚かされる作家だが、今回もまたスゴかった。詩作にも勤しむ、頭の切れる新聞記者、クリントン・ブラウン。市警察の主任警部スチューキーとは親友の仲だ。だが、そんなブラウンにも心の奥深くに抱えている秘密が....!?家を出て娼婦となった妻、美しい未亡人、そして都会からやってきた出版社の編集長。突然暴力を爆発させるブラウンだが、事態は思わね展開に!驚愕のラストで締めくくられる傑作ノワール!2014/04/14

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