• ポイントキャンペーン

取るに足りない殺人

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 287p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784594042073
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

妻が経営していた田舎町の映画館を引き継ぎ、切れる頭を武器に、違法すれすれのやり口でビジネスをのばしてきたジョー。しかし、妻が新しい家政婦を連れてきたときから、彼の人生の軌道ははずれはじめた。器量の悪いその娘キャロルが、どういうわけかジョーにはすばらしい女性に思え…そしてふたりの関係は、たちどころに妻の知るところとなった。結論は簡単だった。偽装殺人で保険金を詐取し、妻への手切れ金にするのだ。完全犯罪計画が進むいっぽう、巨大映画館グループがジョーをつぶしに画策をはじめる。追いつめられた男が挑む、最後の頭脳戦のゆくえは―?トンプスンが、その鬼才ぶりを爆発させた、初の犯罪小説。

著者等紹介

トンプスン,ジム[トンプスン,ジム][Thompson,Jim]
1906年~1977年。職を転々とした後、50年代に入ってパルプ小説を次々と発表。キューブリック監督『現金に体を張れ』『突撃』の脚本、ペキンパー監督『ゲッタウェイ』の原作でも有名。ますます再評価の気運が高まっている

三川基好[ミカワキヨシ]
1950年生まれ。早稲田大学文学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

117
トンプスンは半分も読んでいないが、魂に触れてくるスタインベック的作品と、ちょっとハイになって筆の動くままに書いたんじゃないかと感じるエルモア・レナード的クライムノベルとに分かれるように思われる。作者名を知らずに読んだら、同じ作家と分からないのじゃないかしら。どちらもアメリカ中部の暮らしの厳しさを描いているには違いないが。この作品のような世界は、彼の得意とするところ。狡猾に立ち回ろうとしても、さらに狡猾な者達がいて、油断も隙もあったもんじゃない。自分を登場させてキレてる所も面白かったな。2021/03/11

ネコベス

36
田舎町の映画館経営者ジョーは家政婦キャロルとの愛人関係が妻にばれてしまった。妻の替え玉を殺して生命保険金を手切れ金とすることに合意したジョーは保険金詐欺の計画を進めるが、大手映画館チェーンの経営者ソルがジョーの映画館を乗っ取ろうと画策していた。トンプスン初期の犯罪小説。後の作品に見られる狂的な要素は薄いが海千山千のこすっからい登場人物達が繰り広げる虚々実々の駆け引きに、弱みを握られ追い詰められ窮地に追い込まれる主人公ジョーの焦燥を巧みに描いた心理サスペンス小説で楽しめた。2020/03/08

bapaksejahtera

11
久々のトンプソン。なぜ彼の作品を暫く放っておいたのか不思議だ。独白体の文章のノワール小説で、時々「あんた」と読者に語りかけて来る。その点は「失われた男」と同じだ。「内なる殺人者」では口数の多い机竜之助のように思った。本作でも同様。しかし今回は初期の作品ということか、犠牲者は少ない。主人公は徳義に反する遣り方でのし上がっていった映画館主。シネコン時代の読者には分かりにくいアナログ時代のあれこれが詰まっている。悪い男ではある読み進むうちに犯人の身になっているような気になる。しばらくは著者作品を掘り起こしたい。2022/09/11

hirayama46

6
トンプスン初期のノワール小説。やはり面白いな……。普段をミステリを読み慣れているものとしては気にしないではいられないポイントをばっさり描写せずに省略する剛腕。タイトル通り、殺人自体は取るに足りないもので、他に重要なものがある、ということなのでしょう。それが何かを言語化するのはシンプルなようで難しいので、気になった方は読んでみてください、としか言えない……。2016/11/30

lovemys

6
謎なのです。読み終わっても全てが謎のまま。なぜキャロルに惹かれたのか、なぜエリザベスはキャロルをつれてきたのか。なぜこんなハメになったのか。全てが謎のままだけど、そういうところが心に残る。結局、強い殺意を持って計画し、実行するなんて、一握りの犯罪なのかも。気がついてみたら、こんな状態になっていた、ってのが真実かも。誰もが誰かに何かを求め、誰もが自分が有利になろうとしていて、これもこの世の真実なのだと思うと怖い。べスの言うがままに動いているジョーは、結構ピュアなのかもしれないと思ってしまったから恐ろしい。2014/11/30

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/13702
  • ご注意事項