アフター・ダーク

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  • サイズ B6判/ページ数 270p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784594033026
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

ふらりと街へやってきた男、ビル・コリンズ。実は、かつて一世を風靡したボクサーだったが、いまはわけあって街から街へと放浪の生活をつづけている。しかし、立ち寄ったバーで、魅力的な未亡人フェイと出会ってしまったことから、彼は危険な犯罪劇へ飲みこまれていく…心の暗黒をかかえ、逃れようとしてもフェイのもとにもどってしまうビルは、子どもの誘拐という卑劣な犯罪に関与せざるをえなくなる。のっぴきならない状況に陥った彼には、それでも、運命の女性と子どもとを救う、究極の一手があった―映画化から10年、ノワールの帝王の危険な1作が登場!G・オブライエンの歴史的なトンプスン論を収録。

著者等紹介

トンプスン,ジム[トンプスン,ジム][Thompson,Jim]
1906年~1977年。職を転々とした後、50年代に入ってパルプ小説を次々と発表。キューブリック監督『突撃』『現金に体を張れ』の脚本、ペキンパー監督『ゲッタウェイ』の原作・脚本でも有名

三川基好[ミカワキヨシ]
1950年生まれ。早稲田大学文学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hit4papa

18
精神を病んだ元ボクサーが出会ったアル中の美女。彼女の手引きで知己となった元刑事は、元ボクサーに犯罪計画を持ちかける。ファムファタル=運命の女に出会って奈落の底へまっしぐらな、泥沼破滅型の作品です。女に翻弄され人生が狂っていく王道パターンは、怒りで我を忘れてしまうというぶちキレ寸前の主人公が徐々に主導権を握っていく点で、他の同様の作品と一線を画していると言えます。トンプスンといえばノワールですが、感傷的なラストはノワール色が薄口な印象です。もっとも、そもそもノワールって良く分かってはいないんですがね。2017/08/28

bapaksejahtera

14
精神を病むが静かな環境下では安定した生活を過ごし得るという元ボクサーの男が収容施設から脱走。とある酒場で女と知り合う。その酒浸りの女の家で、男に誘拐事件に引込まれる。誘拐した子供は 1型糖尿病。主人公はこの子に同情心を持ち優しく扱う。初め主人公のカルテを提示される読者は、そのつもりで読むので、読者への呼びかけで一貫するいつもの文体もあって、主人公の思考や感情の動きや、主人公を知る親切な医者が現れる事など、不自然なあれこれも併せ呑む形で読み進む。最後は余りに納得の行く終わり方過ぎ、いつもの作らしくはないが。2022/12/02

阿遠

6
文遊社のトンプスン作品が読みたくなり、他の未読本で予習復習。社会病質者の手記、といった感じは他の既読本と同じ体裁の印象。『ポップ1280』等の代表作と較べると、キャラクターに魅力を感じられず、突発的な暴力性も「騙り」も弱いと感じた。しかし、トンプスン節とも言える独特の言い回しにはやはり、グッと来た。2018/06/08

hirayama46

5
久しぶりのジム・トンプスン。身を持ち崩した元プロボクサーが誘拐をしたりする話。ちょくちょく描写を大幅に省いている部分があったように思えますが、それが小説としてどういう狙いだったのかはよくわからず……。主人公の一人称の不安定感を強くするものだったのかな。ラストの暴走とも言える愛情の動きは切なくも虚しくて良いですね。2020/10/05

GO-FEET

5
「ジム・トンプスン、安物雑貨店(ダイムストア)のドストエフスキー」(ジェフリー・オブライエン) やっぱり、この一人称の独特の語り口は癖になる。2018/07/31

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