内容説明
メキシコのティファナに赴任している米国麻薬取締局捜査官のカルホーンはアメリカ合衆国への密入国者たちを手助けして不正に金を稼いでいた。だがある時、偶然昔の恋人と再会した。カルホーンは彼女と新しい土地で人生をやりなおそうと思った。彼はこれが最後と決めた危険な仕事をやる決心をする。一方、カルホーンの不正に気付いた司法当局が、彼を逮捕すべくすでに動き始めていた…。友情と裏切り、希望と絶望、善と悪、生と死が、渾然と混じり合ったメキシコ国境の街を舞台に、生者と死者が交錯する祭日“死者の日”の前日と当日の二日間を、乾いた筆致で描いた現代ノワールの衝撃的な作品。
著者等紹介
ハリントン,ケント[ハリントン,ケント][Harrington,Kent]
本書および『転落の道標』(扶桑社ミステリー)の他に“The American Boys”を発表している。カリフォルニア州サンラファエル在住
田村義進[タムラヨシノブ]
翻訳家。訳書に、エルロイ『アメリカン・タブロイド』『アメリカン・デス・トリップ』(共に文芸春秋)、サンダース『怒りの殺人』(ハヤカワ文庫)、パタースン『サイレント・スクリーン』(扶桑社ミステリー)などがある
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感想・レビュー
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ネコベス
2
メキシコのティファナに駐在する麻薬取締局捜査官のカルホーンは、ばくち狂いで多額の借金を背負い、密入国の手引きをしてその場をしのいでいた。ある日昔の恋人と偶然再会し、人生をやり直そうと決意、危険な賭けに出る。死者の日の祭りの喧騒の中、デング熱に侵されながら必死にもがくカルホーン。身内の組織や地元警察、借金取りに追われてずるずると破滅への道を突き進む。脇役も個性的で面白かった。混沌と熱気に満ちたノワール。2017/06/19
endormeuse
1
まとわりつく熱気と悪い夢のような雰囲気はグッドだが、同時に淡白な印象が残る。もっと描写がほしい。とくに終盤の暴動シーンは、もっと紙幅を費やしていれば最高にアポカリプティックでよいクライマックスになっていたと思う。2018/09/22
euthanasia
1
某評論家はポスト・ジム・トンプスンとして本書を礼賛していたが、たしかにこれはこれでノワールの佳作として面白く読んだけどジム・トンプスンとは似ていない、少なくともラストの感傷性=ロマンティシズムみたいなものはジム・トンプスンから最も遠いものだと思った。2015/04/01
脂肪分
1
事件を「並べてみた」だけで「連結して」はいない。たいした盛り上がりもない。2007/06/01
hikarunoir
1
クライマックス後の静謐は爽やか。