内容説明
ポッツヴィル、人口1280。保安官ニック・コーリーは、心配事が多すぎて、食事も睡眠も満足に取れない。考えに考えた結果、自分にはどうすればいいか皆目見当がつかない。という結論を得た。口うるさい妻、うすばかのその弟、秘密の愛人、昔の婚約者、保安官選挙…だが目下の問題は、町の売春宿の悪党どもだ。何か思い切った手を打って、今の地位を安泰なものにしなければならない。なにしろ彼には、保安官という仕事しかできないのだから…アメリカ南部の小さな町に爆発する、殺人と巧緻な罠の圧倒的ドラマ!キューブリックが、S・キングが敬愛するジム・トンプスンの代表作。饒舌な文体が暴走する、暗黒小説の伝説的作品、登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゅんさん
37
単なる馬鹿な保安官の下品なノワール小説かと思ってたら違った。後半にかけてどんどん引き込まれていき最後の方は目の前がぐらりと揺れた。ジム・トンプスン、ただものではないね。「安物雑貨店のドストエフスキー」納得です、ドスト読んだことないけど。2020/03/08
Toshi
10
これは面白い。まさにパルプノワールって感じも、人間の本質的な暗い嗜虐性を感じさせてくれる。ジムトンプスン凄い。2017/07/01
Ai
8
ジム・トンプスンは、クセになる。主人公にまったくもって倫理観がないゆえ、悪い方にしか話が進まない。かつ、罪悪感もなければ、いきなり己の哲学や宗教観も語りだすから、手に負えない。クセになる。2020/11/18
ポルコ
8
ずっと気になっていたポップ1280が古本屋の100円コーナーに並んでいたので購入。面白くて一気に読めた。優しくて気弱そうに見えた主人公の裏の顔とのギャップが凄まじい。とても共感など出来ないのに、なぜかそのキャラクターを楽しんでしまった。ジム・トンプソンの時にユーモラスで、立て板に水で、流れるようなセリフと文章さばきもすごい。2013/04/10
グラコロ
5
〝内なる殺人者〟と同様、主人公は罪悪感なしに殺人を重ねるけど、今回はまわりの人間もかなり振り切れている。設定はトム・ソーヤの時代だけど、執筆当時の赤狩りや人種問題を暗に風刺していて、単なるノワールではない深さを感じさせる。2017/03/20