扶桑社ミステリー<br> 老人と犬

扶桑社ミステリー
老人と犬

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  • サイズ 文庫判/ページ数 275p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784594027155
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

老人が愛犬と共に川釣りを楽しんでいる。そこへ少年が三人近づいて来た。中の一人は真新しいショットガンをかついでいる。その少年が老人に二言三言話しかけたかとおもうと、いきなり銃口を老人に向け金を出せと脅した。老人がはした金しか持っていないと判るや、その少年は突然、銃を犬に向けて発砲し、頭を吹き飛ばした。愛犬の亡骸を前に呆然と立ち尽くす老人。笑いながらその場を立ち去って行く少年たち。あまりにも理不尽な暴力!老人は“然るべき裁き”を求めて行動を開始する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sin

91
その冒頭で出くわす愛犬の死は彼が人生の過程で経験した理不尽な出来事に対する怒りをも呼び起こす。淡々と真実を欲して耐えて行動する姿は以外でもありながら過去に体験した自身の息子の裏切りの真実を求め続けてきたやり場のない怒りの深さを現しているようだ。それにしても銃というのは厄介な存在というべきで、なぜなら素手ではなんら力を持たない人間という生き物に、まるで王者にでもなったかのような錯覚をもたらすのだから…自分の身を守るためと云うがその分不相応な力は弱者の盾にすぎないのではないだろうか?2016/11/02

aquamarine

78
とにかく訳が綺麗でとても読みやすいです。いきなり惨殺される家族である飼い犬、静かな老人の怒り。家族との絆、現れていく老人自身…。クズとしかいいような少年たちと親への復讐が成功するのか、じりじりする不安を抱えながら完璧なハードボイルドをぐいぐいと夢中で読み進みました。最初の斬殺部分よりもすべてが落ち着いた後の「あなたがわかる」シーンに号泣してしまいました。残虐非道な話を書く鬼畜系ホラー作家との評判だそうですが、これは異色なのかメインはそこではないです。逆に残虐非道な方もちょっと読んでみたくなりました。2016/01/26

YM

78
ケッチャムさん3作目。感動した…。ラドロウは、少年に愛犬をショットガンで殺される。許せないラドロウは少年を探し追求するがやってないとうそをつく。少年の親もかばう。警察や司法も役に立たない。ラドロウが明らかにしたかったことは「正義」は何か。少年が罪を認め後悔し、適正な罰を受けること。復讐ではない。ラドロウにも忘れたい過去があった。しかしどんどん無かったことにされていく。むしろすんごい嫌がらせしてくる!許さん!誰もやらないなら、おれがやる!ラドロウの熱に、僕の心も奮い立った!ナイスケッチャム!2014/12/14

ずっきん

77
ケッチャムは読まないとか、このタイトルってアレだよねとか、とりあえずハードボイルド文体というものの検証したい──からの──無我夢中! 少年たちに愛犬を殺されたエイブが謝罪を求めて行動を起こす。いってしまえばただそれだけの筋立てを夢中で読ませる力量に感嘆する。心情描写はほとんどないのに、怒り、が怒濤のごとく流れ込んでくる。なぜ彼が立ち向かうのかが、悲哀、後悔とともに押し寄せる。家族の過去とキャリーとの逢瀬が結末への厚みを増して、エピローグはなんとも余韻のある読後感。まいったね。こんなジジイになりたい。2019/12/01

Bugsy Malone

66
ケッチャムがこんな小説を書いていたなんて!勧めてくれたお気に入りさんも言っている通り正にハードボイルドだ。淡々と進んで行く文章は時折ヘミングウェイの格調高さを醸し出し、ある種諦念している老人が自らのルールに従い行動する様は、まるでチャンドラーが描き出したテリー・レノックスを探し続ける年老いたフィリップ・マーロウの様だ。原題の「RED」を邦題「老人と犬 RED」としたのは洒落だけでは無かった。2016/05/27

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