内容説明
ニューヨークの高級住宅街に住むレイノルズ夫妻の愛犬リザが、ある夜、公園で行方不明になった。つづいて、「あんたの犬を預かっている。返してほしければ1000ドルを公園に置け」という手紙が届けられた。警察に相談した夫妻の話を、たまたま聞いていた若い警官、クラレンス・デュアメルはこの事件にかかわったばかりに思わぬトラブルに巻き込まれる。犯人は判明したものの、事態は意外な展開へ…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
J.T.
3
飼い犬を誘拐される事件に巻き込まれたことから、一見普通に生活していた人々の危うさが露見していく話。唯一、一貫性のある描かれ方をしているのが、犬の飼い主の夫人(ホロコーストを逃れてアメリカに移住した)と警察というところはどういうふうに理解すればいいのだろう。年齢の割に幼いという欠点はあるものの、決して悪い人間ではない主人公が真綿で首を絞められていくように、じりじりと破滅していく過程が恐ろしい。パトリシア・ハイスミスは初めて読んだが、嫌な感じが癖になりそうだ。若い頃の著者の写真、カッコいい。2017/01/22
h
2
『妙な怒りが、彼の身内でうごめきだした。欲求不満だ、とクラレンスは思った。何ひとつ動いていないように思えたのだ。一点からつぎなる点へと論理的に前進しているものなど何もない。論理的な結論を下し、そのうえでつぎなる行動をとる人間などひとりもいない。』2014/12/29
yos
1
主人公のクラレンスの弱さが、読んでいてかわいそうになる。その他の登場人物もどこか弱さを漂わせていて、それはそのまま人間の持っている弱さかもしれない。1999/06/11
なやら
0
これは面白かった!おみごと。ものすごく奇怪な話。そしてザ・悲劇。主人公が悪魔に目つけられてる。そう、この主人公。コイツが一見外面良いキャラで通ってるけど、自己開示が苦手で周囲とどこか打ち解けられず、しかもちょっと天然マヌケという性格で、すごく自分と似ている……自分もマンジーニみたいな奴には100パーセント嫌われるだろうしな……という感じで、超自分に引き寄せて読んだ。なんか読んでる間中やたら寒くて、電気毛布にくるまりながら読み終えた。2017/03/02
kanamori
0
☆☆☆2013/09/30