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ケルトの白馬

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  • サイズ B6判/ページ数 203p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784593533770
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

イギリス、バークシャーの緑なす丘陵地帯には、地肌の白い土を露出させて描いた、巨大な白馬の地上絵がある。古代ケルト人の手になるその地上絵は、力強く美しく、悠久の時を超えて命の輝きを放っている。なぜ、どのようにして、この「アフィントンの白馬」は描かれたのか。カーネギー賞受賞作家サトクリフが、今はもう忘れられた豊かな物語を紡ぐ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェルナーの日記

168
主人公ルブランが描く”ケルトの白馬”の名は、”アフィントンの白馬”といい、イングランドの石灰岩の丘陵地帯に画かれた地上絵で”ヒルフィギュア”と呼ばれるモノの1つ。とくに、”アフィントンの白馬”は制作年代が古く、先史時代後期の鉄器時代とされている。紀元前1000~0年くらいに位置する。まだローマ帝国が侵入する直前であり、おそらく当時は”アルビオン”(由来はドーヴァー海峡沿岸に広がる崖の白さにある)と呼ばれていた頃と思われる。この時代は、当然の如く統一国家は存在せず、各部族ごとに生活を営んでいたのだろう。2017/07/02

Willie the Wildcat

60
馬族、そして一族としての誇りであり哲学。”生命”の注入が必須、故の「ブルーベル」。但し、辿りつくまでの過程の苦悩。癒す場所は、ハルニレの木。真意を理解する親友ダラ、そして敵将クラドックとの無言の心のやり取りが印象的。一方、女神エポナ。英国の祖と言われるケルト族と、ローマ族の共通項でもある。ここにもルブリンの魂が宿る源泉という気がする。目先の安易な解決法に惑わされることなく、義を通す姿勢。敵味方、万人に通じる心根。2016/09/13

けろりん

51
【生誕100年サトクリフを読む】風よ吹け。北へ向かう襤褸の同胞、頭を上げ双眸に焼き付けよ。緑の丘を駆ける白馬の姿を。歌え、気高きイケニの長の息子ルブリン・デユの物語を。雷と月光の白き炎を纏う馬よ、女神エポナの白馬よ翔けろ。若き勇者の命を乗せて駆けろ、翔けろ。2019/01/10

マリリン

43
不思議な魅力を持つ表紙絵に惹かれ手にした本。ケルト民族の族長の末息子ルブリンが描いた白馬。込められた意味と経緯、魂を吹き込むとは… 脳裏に描かれる幻想的な情景が美しい。実在する絵を物語として構築した著者の魂が伝わってくる。残虐なシーンもあるものの児童文学だと思うが継承されてきた深い歴史を感じる。ケルト関連の本は他にも読んだが、この作品が一番印象的かも。サトクリフの作品は他のものも読んでみたい。 最後のシーンは金子薫著「鳥打ちも夜更けには」の情景が脳裏をよぎった。2021/03/05

neimu

36
サトクリフファンにはお勧め。生きることの切なさ、残酷さ、生き延びるための犠牲、祈り、死を賭して贖うべきもの、信仰と信念、親子兄弟姉妹血族の在りよう、聖性を帯びたものの宿命。言い表しようのない悲嘆と恍惚が一体となって、この短い物語を貫く。しかし、託し託された希望は決して消えない。2007/06/11

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