出版社内容情報
高柳 克弘[タカヤナギカツヒロ]
著・文・その他
あやの あゆ[アヤノアユ]
イラスト
内容説明
伝わっても伝わらなくてもいい。こころを解きはなつ十七音。顔のホクロをからかわれたことがきっかけで、教室に行けなくなったソラ。割り切れない気持ちはいつしかことばになり…。気鋭の活躍中俳人が描く、俳句と中学生の物語。
著者等紹介
〓柳克弘[タカヤナギカツヒロ]
1980年、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学教育学研究科博士前期課程修了。専門は芭蕉の発句表現。2002年、俳句結社「鷹」に入会、藤田湘子に師事。2004年、第19回俳句研究賞受賞。2008年、『凛然たる青春』(富士見書房)により第22回俳人協会評論新人賞受賞。2009年、第一句集『未踏』(ふらんす堂)により第一回田中裕明賞受賞。2017年度、Eテレ「NHK俳句」選者。現在、「鷹」編集長。読売新聞朝刊「KODOMO俳句」選者。全国高等学校俳句選手権大会(俳句甲子園)選者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chimako
75
ホクロを〈はなくそ〉と揶揄されイジメの対象となった中学生ソラ。新年度から何とか教室に通うも限界が来た。保健室のドアを開けると変なやつがいた。「ナゾク」とか言う遊びをしている。何?俳句?俳句のなぞなぞ?そのなぞなぞにセンスを発揮してしまったソラは強引に誘われ俳句を詠むことに。もともと俳句を詠むハセオ、弓道部部長のユミも経験者。そして、保健室の北村先生。俳句を通して表現する面白さ難しさ愉しさを知るソラ。「こほろぎのこえ(旧字体)ちかぢかと復習す」この句が変わっていく様は興味深い。自分も詠んじゃうよね、俳句。2022/06/30
はる
60
爽やかな読後感。いじめが原因で保健室登校をしている中学生の少年ソラ。ある日、保健室で風変わりな少年ハセオに出合ったソラは、彼の影響で俳句の魅力に気付いていく……。作者は俳人。なので俳句の出来・不出来の描写に説得力があります。一つの句がみんなの意見で少しずつ姿を変え、より良いものに昇華していく場面にわくわくしました。3人組の関係がとてもいい。正直、文章は荒削りな感じもしますが、ラストのハセオの句が素敵でした。2021/11/10
モモ
55
クラスでいじめられ、保健室登校をしているソラ。同じく保健室によくやってくるハセオと俳句を作ることになる。つかず離れずの二人の関係は、俳句を作ることをとおして深まっていく。顔にあるホクロをからかわれたソラがマスクを外せるようになるまでに。そしてソラをいじめた男の子との対峙がソラの成長をうかがわせる。俳句をまじえた爽やかな話。2021/10/14
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
46
顔のホクロをからかわれて保健室登校をしている中学生のソラ。そこで風変わりな俳句好きな問題児ハセオに出会う。ハセオと触れ合ううちに、少しずつ変化していくソラ。そこに新たなメンバーのユミが仲間入り。俳句を通して通い合う3人。五七五に込められた思いはそれぞれだが、言葉の持つ力、表現する楽しさに魅せられていく。・・といっても私自身にとって俳句は手ごわい存在。物語を通して、表現力や俳句の魅力を味わえた青春小説でした。#NetGalleyJP2021/10/10
chiaki
33
俳句を通して繋がったハセオ、ソラ、ユミの3人には、心ない言葉で傷ついたという共通の経験が。そんな経験から、言葉を重んじる彼らだからこそ、言葉の化学反応に魅了され分かり合える。俳句というわずか17音の世界に想いを乗せるため切磋琢磨し、成長してゆく3人の姿がとても清々しくたくましく描かれている。ちょうどいい距離感を保つ保健室の北村先生の存在も大きい。とても爽やかな読後感。おすすめしたい1冊です。2022/06/16