出版社内容情報
夏休み、遠い町からおじいちゃんがカイトの家族とくらすためにやってきた。ところが、おじいちゃんはカイトのことを「まもるにいちゃん」とよんだ。それは、7歳で亡くなったおじいちゃんのお兄さんの名前だった。
やさしかったおじいちゃんなのに、子どものようにないたり、おふろに入ろうとしなかったり……。そんなある日、庭でスズメたちが砂あびをする姿をともに見たことをきっかけに、カイトとおじいちゃんは、いっしょにおふろに入ることになるが……。
年老いた祖父の変化にとまどい、ショックを受けながらも、ともにすごす中で、現在の祖父を徐々に受け入れ、心をよりそわせていく姿を、1年生の男の子の視点からまっすぐに描き、あたたかな感動と共感が広がる作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみきーにゃ
77
児童書。認知症になってしまったおじいちゃん。施設に送る場面は切ない。ちょっとぎゅうぎゅうにお話を詰めた感があり最後はこれで終わり?と思ってしまった。2020/10/31
遠い日
9
認知症の理解のために、子ども向けに書かれた本書。子どものリアルとおじいちゃんのリアルが食い違うのは、おじいちゃんの認知症のため。家族の理解が本人の心を安らげることもある。ただやっぱり症状が進むと一般家庭では、認知症は対処しきれないもの。おじいちゃんを施設へと送る場面は切ない。2020/09/24
You
3
ここ数年、祖父母の認知症を理解しよう、寄り添おうとする孫視点の作品がよく出ている。良いことだと思う。こういう作品を読んだ子どもの何人かが祖父母と優しく触れ合えて、親を驚かせるような場面が日本の幾場所かで見られるのかもしれない。家にいた間の祖父と孫が幸せだったかどうか。家を出た後の祖父と孫が幸せかどうか。明確には描かれず、いつまでもどこか寂しく切なく、温かい。そういうものなのだろう、とも言い切ることができない。何十年も生きるという大仕事を続けてきた人には、どうか晩年も幸福であってほしいと思う。2020/05/31