内容説明
2011年3月に起きた大地震で、東北の海べの町には大津波がおしよせ、町は見るまにのみこまれていきました。津波にのまれずにすんだ公園や空き地には、たくさんの仮設住宅がたてられ、こどもたちのあそび場は、なくなりました。おもいっきり、あそびたい!みんなでいっぱい、わらいたい!震災で傷ついたこどもの、心の回復を描いたドキュメンタリー。
著者等紹介
指田和[サシダカズ]
出版社で子どもの雑誌、家庭雑誌などの編集を経たのち、フリーとなる。いのちや平和、自然に関するテーマにひかれ、取材し作品にしている。日本児童文学者協会会員
阿部恭子[アベキョウコ]
フリーランスのイラストレーターとして、広告やディスプレイなどの仕事を手がける。1996年からタイ在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫 綺
71
東日本大震災で地獄を見て、PTSDに沈む子どもたち。その笑顔を取り戻そうと奮闘する大人たち。楽しい遊具いっぱいの公園を作り、グレーで暗い工場の壁をカラフルで明るい夢の絵に塗り替えた。そんな涙を誘う温かい絵本。2019/03/31
あん
60
仮設住宅が建てられ、遊ぶ場所を失った被災地の子供たちの為に作られた公園の横にあった工場の壁。その無機質な壁が津波を思い出させるなんて、考えてもみませんでした。人と人との繋がりがそこに明るい壁画を誕生させ、希望に満ちた公園に変わっていった、釜石市の「こすもす公園」の実話です。事実を淡々と描いているので派手さはありませんが、描かれた壁画は圧巻ですし、阿部恭子さんの鮮やかな絵からは、パワーを感じられて元気になれますよ。2017/03/12
てんちゃん
33
実話をもとにした絵本。子供の遊び場が無くなってしまった被災地釜石で、子供のためにと作られたコスモス公園。しかしそこには灰色の工場の建物が隣接していて子供はその壁にあの日の津波を連想してしまって…。たくさんの大人が立ち上がり助け合って、明るい明日を感じさせる素晴らしい絵が工場の外壁いっぱいに施されました。今その公園は、たくさんの子供や大人が訪れる復興のシンボルのような地となっているようです。絵本の絵は実際に壁画に取り組まれた阿部恭子さんによるもの。エネルギーと優しさに溢れた素晴らしい絵です。2018/03/10
ひ ほ
27
岩手県釜石市にある「こすもす公園」と「きぼうの壁画」のおはなし。震災でつらい思いをした子供たちを癒してくれる素敵な壁画。壁画も素敵ですが、公園を作ろうとした佐藤さん壁画用の壁を貸した佐々木さん、壁画を描いた阿部さんそしてたくさんのボランティアの人たちの愛の結晶ですね。2019/04/26
みさどん
12
こういうプロジェクトがあったんだと感心した本。子どもが実際に大津波の悲劇を体験したなら、ものすごいトラウマになるだろうと想像できる。「9歳で死ぬのかもしれない」と日記に綴るほどの体験をした子どもの心情を思いやって、無機質な壁を楽しい絵でうめつくそうというプロジェクトが発足したのだ。気持ちの良い場所、ホッとできる情景、落ち着ける所って確かにあるもの。絵に込められた思いがずっと受け継いでいかれますように。2017/06/26