内容説明
偏差値なんて関係ない。エリートじゃなくたって、てっぺんを獲れる。いたってマイペースな校風の中高一貫男子校・岩手高校が、「頭脳の格闘技」といわれる高校棋界で頂点を極めた背景には常識破りの勝負哲学があった―。たった3人でゼロから始めた弱小クラブを全国屈指の強豪に育てあげた名顧問が、生徒たちと歩んできた20年間を振り返って独自の指導論を語る。
目次
第1章 岩手高校将棋部ができるまで(ゼロからの出発;全国大会行きの切符;勝ち上がる条件;突破口;全員将棋)
第2章 岩手高校将棋部の勝負哲学(6つの活動方針;大会攻略法)
第3章 年表・岩手高校将棋部の歩み
第4章 岩手高校将棋部は、なぜ強いのか―2013年度全国高等学校総合文化祭・観戦記
著者等紹介
藤原隆史[フジワラタカシ]
1971年、岩手県生まれ。盛岡市にある私立岩手中・高等学校数学科教諭。同校囲碁将棋部顧問。94年、同校に着任し、将棋同好会設立に尽力。徐々に実力を伸ばしてクラブ・部へと昇格。将棋アマ四段、囲碁六段。自身も岩手中高の卒業生。13年8月、全国高校将棋選手権・男子団体部門において3年連続優勝。部のこれまでの功績が認められ、盛岡市市民栄誉賞を受賞
大川慎太郎[オオカワシンタロウ]
1976年、静岡県生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業後、出版社勤務を経てフリーに。2006年より将棋界で観戦記者として活動する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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緋莢
16
全国高校将棋選手権・団体の部3年連続日本一、12年連続で出場、7年連続、表彰台にあがりつづける岩手高校将棋部。麻布、灘、東海などの有名進学校に比べれば「普通」の高校である岩手高校が、何故、ここまで強さを発揮できるのか?始まりはたった3人だった時代から日本一になるまでの軌跡、その指導論を顧問が語る。2017/01/10
ちくわん
7
地元の岩手高校(通称:ガンコウ)の将棋・囲碁部の全国的な活躍を顧問が紹介。そこそこ強いのは地元紙で知っていたが、ここまで強いとは知らなかった。帯にもあるように進学校では昔から全くない。男子校なので、それほど人気もない。しかし、例え身内(顧問)が書いたとはいえ、これほど将棋団体戦という不可思議な競技に高校生がのめり込む姿勢は、まさに”ウォーターボーイズ”。機会を見つけて部活動を覗いてみたい。(覗いたくらいじゃ、わからないか?)2018/08/14
ふう
5
偵察しない。普段の練習時間の拘束もない。ミーティングも現地に着いてからの練習もなし。それはよく分かる。よそがやってるからやる発想が世の中多いけど、負けたときの口実を作らないためだけの存在なら、ない方が良い。といってすること自体は間違いだとは思わないけれど。試合の送迎に教師が運転するのは本来駄目でしょう。で、最終章の、2013年総合文化祭での観戦記が面白かった。追いつめられた状況で、ここぞという勝負をかける高校生らしさが素敵だった。駒の動かし方くらいしか知らなかった将棋だけれど、十分理解できて面白かった。2015/05/02
文章で飯を食う
5
本屋で立ち読みをしたまま、最後まで読んでしまった。中高一貫の男子校で将棋部が全国大会の団体戦で三連覇する話。しかも、期待を裏切ることに偏差値が高くないのだ。しかし、高校に入ってから将棋を本格的に始めて、全国大会に出場できる選手を育てるなんて、ありえない。常識をくつがえされる本。将棋好きな人、教育に興味のある人、非常識が好きな人、必読。2014/06/14
あなあき
2
テレビ番組では、高校から将棋を始めた部員が、3年間でアマ三段にまでなった過程が紹介されていたが、スゴく驚いた記憶がある。十代後半の伸び盛りの時期に毎日3時間以上継続して打ち込んでいるとはいえ、簡単に達成できることではない。「きっと特別な練習法があるのだろう」と思いながら番組を最後まで見たが、期待したものは全く出て来なかった。「本書にはソレが書かれているかもしれない」と読んでみたもののアテが外れた。彼が短期間に上達できたのは「仲間と一緒に好きな将棋を楽しむこと」をフツウにやってきた結果に過ぎなかったんだね。2016/04/05