内容説明
高校時代、やけに男を魅きつけた尾高裕美に。東京で生まれ育った美貌の同級生の吉岡暁子に。海外生活をしてきた同僚のエイミーに…。そのおさえても湧き上がる黒い嫉妬の感情に飲まれていく男女を鋭い筆さばきで描いた、切なくも残酷な傑作短編集。
著者等紹介
林真理子[ハヤシマリコ]
コピーライターとして活躍したのち、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーに。『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞。『白蓮れんれん』で柴田錬三郎賞、『みんなの秘密』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bunmei
100
「林真理子の書く小説は、男が抱いている女の幻想を打ち砕くものだ」と言われたことがあると、著者自身があとがきでも記している様に、男の自分からしたら、女性が潜在的に持ち合わせている、嫉妬心や猜疑心の怖さを感じる作品であった。その嫉妬心の内、男性に対しては女としての武器をフル活用しながら、感情が先走るものとなる。一方、女性同士においては、目に見える行為ではなく、ジワジワと締め付けるような陰湿で且つ冷酷な態度に変わると感じた。普段は決して、表には出さない女性の裏の顔を、醜い中にも愛おしく描かれている6つの短編集。2023/02/22
さっこ
70
人は人、自分は自分って割り切って生きられたら楽なのにね、と思いながら読み進めました。嫉んでいない素振りで強がってみても、嫉妬の渦に飲み込まれてしまう。勝ったとか負けたとか、女性の業なのかな。身につまされる場面もあったり。男性はこういう嫉妬はしないのだろうか?2021/04/23
もぐたん
51
嫉妬をテーマにした6編。押さえきれないほどの嫉妬心とは裏腹に、にこやかに、穏やかに、親しげに取り繕えるのが女というもの。そして、それを見抜けてしまうのも女。読みやすい文章だが、ビデオや手紙というツール、話し言葉に時代を感じる。マウントをとりたい「女ともだち」、ゾッとさせる「お帰り」が良かった。★★★☆☆2021/03/14
のぶのぶ
49
「秘密」に続き「嫉妬」テーマ別短編コレクション。噂って怖いなあと思う。「嫉妬」から、根もない噂が一人歩き。現実に今日あったので、きちんと事実確認や実際に会ってからにしてほしい。不倫の短編は、ある意味、恐ろしい。嫉妬の負のパワーは計り知れない。姿が美しいと嫉妬の対象になる。人と比べる、競争する、人を羨む、嫉妬に繋がっていく。隣の芝はよく見える。私もある友達みたいになりたいと思っていたら、相手も私を見て同じような気持ちであることが分り、驚いたことがある。自分を受入れること、嫉妬の感情をもたないようにせねば。2018/03/21
ピロ麻呂
41
「嫉妬」相手を羨み、妬む気持ち…すごく分かります😆女性は心に秘める部分が多いかもしれないけど、嫉妬の感情は男でも同じで、独占欲の裏返しだと思う。本作品集の中では「お夏」「おかえり」がお気に入り。さすが林真理子先生、巧い!って思いました😊 2020/12/29