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ゆれる

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  • サイズ B6判/ページ数 220p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784591093030
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

東京でカメラマンとして活躍する弟。実家に残り、家業と父親の世話に明け暮れる兄。対照的な兄弟、だが二人は互いを尊敬していた、あの事件が起こるまでは…。監督デビュー作『蛇イチゴ』で映画賞を総ナメにした俊英・西川美和が4年ぶりに挑んだ完全オリジナル作品を、自らが小説化。

著者等紹介

西川美和[ニシカワミワ]
1974年、広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。在学中より日本映画の現場に助監督として参加し、是枝裕和監督等の作品に携わる。02年、日本の典型的な家庭の崩壊劇をシニカルに描いた映画『蛇イチゴ』でオリジナル脚本・監督デビューを果たし、第58回毎日映画コンクール・脚本賞をはじめ映画賞各賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobby

133
うーん、非常に狭い情景の中で、息もつかせず『ゆれる』様々な感情は苦手な部類…最後にまた自分の解釈が合っているか不安で揺れ動く心…吊り橋で起きた幼なじみ女性の転落死をきっかけに、兄弟の嫉妬や羨望といった想いが溢れ出してはあちこちゆれる。はたして何が起こり目撃はあったのか、徐々に明かされる兄弟や父子の確執に合わせ二転三転する様に戸惑いを繰り返す…何気ない相互の価値観の相違がこんなに大きな歪みをも生んでしまうものなのか…自由奔放と既定路線の裏に潜む思いも紙一重…その真実に辿り着いた兄弟に光射すことを願うばかり…2019/03/17

Shinji

93
芥川、直木賞の候補が発表になった頃に候補と別の作品を読んでみよう と思って積み込んだ本の中の一冊。少しふるびた片田舎での兄弟の在り方、想いを巡る出来事の話。早川猛を中心とした6人の「かたり」で構成された文体が興味深かった。明らかにはされていないけど、誰に対して「かたって」いるのかを想像するのもね。 結局のところ、事実は事実としてあっても 誰がいつ起こした出来事が始まりなんだろうね?最後には誰が救われたんだろうね。これって人は誰もが秘めてるかもしれないもんだから……2015/07/16

naoっぴ

90
西川美和さん三冊目、これもとても良かった!一人の女性の死をきっかけに仲の良かった兄弟の関係が変化していく。物語は数人の登場人物の語りで進むが、語るごとに見える景色が反転する。人の心理とは複雑。真っ直ぐかと思いきや、本人も自覚のないままに捻れ、歪み、傾ぎ、移り変わる。そしていつしか自分でも意識していなかった心の底に隠れていた言葉がこぼれ落ちる瞬間の、ある意味快感とも思える心理の描写が素晴らしかった。揺れに揺れた後の主人公がラストに選んだ行動に思わず涙。感動のツボとはこういうところにあると気づいた。2017/06/30

なゆ

85
映画もものすごく印象に残ってますが、今になって小説の方も気になって。さすが、ノベライズでもじっくりしっかり読ませてくれます。感情を押さえこんで波風立てないように生きてきた兄の稔と、実家を飛び出して好きなように生きる弟の猛。対称的な兄弟の間に渦巻いてる感情が、ある事件をきっかけに露わになってゆく。最初は静かに、でもどんどん押さえきれなくなっていくあの感じ、香川照之さんの名演が甦ります。ラストがこれまたいいんですよね。2人を遮るバスが意味深で。映画では友人と意見が割れましたが、小説でもしばらく考え込みました。2015/08/02

夜長月🌙@5/19文学フリマQ38

72
この作品は兄を想う弟の心のゆれですがそこから自分の心の「ゆれ」について考えているうちにもし、自分の子どもが罪を犯したら親は子どもの無実を最後まで信じるのかというようなことが思い起こされました。おそらく有罪か無罪かを通り越してたとえ子どもが罪を犯そうとも子どもの側であろうとするでしょう。どちらも子どもの味方であることには変わりはないのです。2021/01/26

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