出版社内容情報
ニーチェ,シェリー,リルケ,ポー,バルザック等詩人,作家,思想家の空に関する詩的イメージを追いつつ,夢想の法則とその意味を明らかにした特異な想像力論考。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
呼戯人
7
大学時代に文学の演習でこの本が取り上げられたので、それを読み感動して、今また再読した。バシュラールの詩論はそれ自体哲学と詩の間を飛行する想像力の羽ばたきを捉える繊細な感覚から出来ている。古代の四大を取り上げて、火、水、大気、大地などに関する想像力の研究をしている。この空と夢は、大気とそれに関する想像力に関する研究である。それ自体、長い散文詩のような作品で限りなく詩的想像力を刺激される。いつまで経っても古びることのない哲学詩である。2015/07/29
なかたつ
1
科学哲学者(?)のバシュラールによる、空に関する試論。空と言っても、その周辺の要素も扱っており、鳥、飛行、星、風、嵐、はたまた、大樹もその対象としている。主には、著者による思索が展開されているのだが、時には詩作品が引用されることもあり、空に関してはニーチェの詩が高貴だとされ、他にはシェリーやブレイクらの詩も引用される。簡潔に言うならば、空は物質的なものではなく、力動的なものとして、存在ではなく変化の対象として感じ、夢想することによって、詩人が作品を生み、その作品によって読者が空に満たされると主張する。2013/09/20