内容説明
幼少期に病気で聴力を失うも、独学でロケットの理論を打ち立てたロシア人科学者。これまで日本で紹介されなかったこの宇宙開発における最重要人物の偉業を「宇宙の語り部」的川泰宣が書き下ろす。
目次
プロローグ―あるコサックのはなし
ツィオルコフスキーの幼年時代
失意―空想と知への脱却
一人ぽっちのモスクワ
家庭教師―ヴャートカそしてリャザン
テロリズムと宇宙飛行
雌伏―あのボロフスクへ
『地球と宇宙への幻想』―カルーガの炎(1)
一九〇三年‐奇跡の年―カルーガの炎(2)
宇宙SFの歴史に輝く『地球の外で』〔ほか〕
著者等紹介
的川泰宣[マトガワヤスノリ]
宇宙航空研究開発機構(JAXA)名誉教授、はまぎんこども宇宙科学館館長、日本宇宙少年団顧問、日本学術会議連携会員、国際宇宙教育会議日本代表。東京大学大学院博士課程、東京大学宇宙航空研究所、宇宙科学研究所教授・鹿児島宇宙空間観測所所長・対外協力室室長、JAXA執行役を経て現職。この間、国際宇宙航行連盟副会長、日本航空宇宙学会会長などを歴任。工学博士。ミューロケットの改良、日本最初の人工衛星「おおすみ」を始めとする数々の科学衛星の誕生に活躍し、1980年代には、ハレー彗星探査計画に中心的メンバーとして参画。2005年には、JAXA宇宙教育センターを先導して設立、初代センター長となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
oldman獺祭魚翁
36
日本ではあまり馴染みのなかった「宇宙旅行の父」コンスタンチン・ツィオルコフスキーの数少ない評伝です。この一介の耳の不自由なロシアの田舎教師が、現代の宇宙開発に対しどれほど大きな影響力を与えたか計り知れません!ロケットに留まらず宇宙ステーション・スペースコロニー・宇宙エレベーター等々、その先見の明と豊かな発想は今の宇宙開発の基礎となっています。松本零士の表紙に騙されてはいけません。しっかりと書かれた一冊です。宇宙好き・SF者必読の一冊。2018/01/02
ぜんこう
20
ツィオルコフスキーという名前は全く知らなかったけど『小惑星探査機「はやぶさ」の奇跡』の著者である的川泰宣さんが書いて表紙が松本零士さんということで図書館で借りました。 ロケットが実際にない時代に液体燃料だとか有人飛行だとか無重力だとかスペースコロニーなどなどここまで理論だけで考えて後々の実際のロケット等への足掛かりを作った人を全く知らなかったとは・・・実際にロケットを作って飛ばしたコロリョフなんかは名前だけは知ってたけど。今もロシア抜きではISSすら運用できないですし、その根源部分を知ることができました。2018/07/17
えーた
9
大変面白かった。ツィオルコフスキーは1857年、ロシア帝国はリャザンに生まれ、幼時に猩紅熱で両耳の聴覚をほぼ失い、それでも持ち前の好奇心と志を保ち続け、独学で学校の数学、物理学の教師に。後にこの一介の田舎教師の著した論文が、「多段式ロケット」「スペースコロニー」など、現在の宇宙開発における理論や装置の嚆矢となるとは誰が予想した事でしょう。いたって真面目な伝記ですが、高校生ぐらいの読者も想定しているのか、とても読みやすく、とりわけ「ロケットの推進原理」の解説などは、私などにも実に分かりやすくて良かったです。2018/02/09
relaxopenenjoy
4
図書館に宇宙関連書棚があって、まったく予備知識なく借りた本。ツィオルコフスキーについて全く知識なかったが、両耳の聴力を殆ど失ってもなお膨大な書物から自分で理論を学び、数学教師をしながら、宇宙進出を追い続け現代の宇宙開発の礎となる理論を築いていった凄い人だとわかった。宇宙の専門的知識がない一般的読者にも分かり易く書かれている。ツィオルコフスキ自身の一生涯も興味深いが、米ゴダード、独オーベルト、露コロリョフ、独フォン・ブラウンなどのツィオルコフスキ後継者たちについて概説した十一章も興味深かった。2020/12/08
がんちゃん
4
写真が豊富だし、著者の思い入れも伝わる好著だが、もう少し詳しく知りたいんだけど。2018/07/04