内容説明
猖獗をきわめる昨今の禁煙運動の根源にあるのは、特定の集団を差別したいという心理である。現在の先進社会では、性別、人種などによって人を差別することは、たてまえ上とはいえ、許されていない。そこで、他人に害を与えるという理由のもとに、喫煙者を「汚い」ものと認定し、差別しようとしているのである。これは、かつて肺結核患者やハンセン氏病患者が受けた差別と、ほぼ同質のものだ。二言目には「喫煙者のマナーが悪い、国や自治体が規制してほしい」と言い出し、分煙さえ認めず、全面禁煙を主張する禁煙運動家は、再び全体主義を招来する、恐るべき国家依存症にかかっているのだ。
目次
第1部 禁煙ファシズム・闘争宣言(小谷野敦)(禁煙ファシズムとの戦い;マスコミにおける禁煙ファシズム ほか)
第2部 「禁煙ファシズム」の狂気(斎藤貴男)(ザミャーチン『われら』の世界;一千万人が喫煙で死亡する? ほか)
第3部 嫌煙と反‐嫌煙のサンバ―論争史、それから映画『インサイダー』について(栗原裕一郎)(寅さんが煙草を吸わない理由;嫌煙権の誕生 ほか)
第4部 反・禁煙放談(小谷野敦×斎藤貴男)(分煙さえ否定される;「健康増進法」の欺瞞 ほか)
著者等紹介
小谷野敦[コヤノアツシ]
1962年、茨城県生まれ。東京大学大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了。学術博士。国際日本文化研究センター客員助教授、東京大学非常勤講師。著書に『聖母のいない国』(青土社、サントリー学芸賞)ほか多数
斎藤貴男[サイトウタカオ]
1958年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。英国バーミンガム大学修士(国際学MA)。「日本工業新聞」記者、「プレジデント」編集部、「週刊文春」記者を経て、フリージャーナリスト
栗原裕一郎[クリハラユウイチロウ]
1965年、神奈川県生まれ。東京大学理科一類除籍。文筆業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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