平凡社新書
ゾルゲ事件―覆された神話

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 254p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582857252
  • NDC分類 391.6
  • Cコード C0221

出版社内容情報

太平洋戦争開戦前夜、赤色スパイ事件として日本官憲によって摘発されたゾルゲ事件。ゾルゲ・尾崎の処刑から70年、旺盛な資料探索によって浮かび上がってきた真実とは何か。

内容説明

「二〇世紀最大のスパイ事件」ともいわれるゾルゲ事件。そのイメージは戦後、東西冷戦下における情報戦の文脈の中で形作られてきた。それが過去のものになった今、戦前の特高警察、占領期の米軍ウィロビー報告によって定説化した「伊藤律・発覚端緒説」をはじめ、「大きな物語」の構図が様々な形で綻びを見せている。ゾルゲ事件を二重の意味での情報戦として再考し、その真相を探る。

目次

はじめに―ゾルゲ事件とは何か
序章 膨張する情報戦、移動する舞台と配役
第1章 ゾルゲ事件はいかに語られてきたか
第2章 ゾルゲ事件イメージのルネッサンス
第3章 松本清張「革命を売る男・伊藤律」説の崩壊
第4章 川合貞吉はGHQウィロビーのスパイだった―「清里の父」ポール・ラッシュの諜報活動
第5章 検挙はなぜ北林トモ、宮城與徳からだったのか―米国共産党日本人部の二つの顔
第6章 ゾルゲ事件の二重の「始まり」―キーパースン鬼頭銀一

著者等紹介

加藤哲郎[カトウテツロウ]
1947年岩手県生まれ。東京大学法学部卒業、博士(法学)。現在、早稲田大学大学院政治学研究科客員教授、一橋大学名誉教授。専門は政治学、比較政治、現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

52
ゾルゲ事件を、日本にとってのスパイ事件としてでなく、アメリカにとっての対共産主義、ソ連にとっての対資本主義、そして中国共産党まで含めた、4つの視点からの情報戦という視点を持ち込んで分析する。そこから尾﨑秀樹(尾﨑秀実の実弟)や松本清張が広めた「通説」に疑義を唱える。論証は丁寧で、そのためやや重複も多いが、証拠のない部分はきちんと不明に扱うなど、史料吟味がしっかりしていて説得力があった。ソ連の崩壊やアメリカの秘密文書の公開などで、新しい史料が出ているとか。この事件への平板な評価を脱するような解明が待たれる。2022/12/05

ステビア

20
ソ連崩壊による新文書公開などによって進んだゾルゲ事件についての最新の研究成果を紹介する。ゾルゲ事件を語ることそのものが情報戦の一環だったことに注意。2020/09/04

fseigojp

17
ソ連崩壊後に公開された資料を読み込み定説を覆す2018/09/05

スウィーニー校長

8
★★☆☆☆ シンプルなタイトルなので、ゾルゲ事件の概要・全体像が分かると思いきや、分からなかった… ゾルゲ事件の報道自体が東西冷戦下の情報線の一部、事実と異なる報道がされていた。 「伊藤律はユダではない」という事が書かれているが、伊藤律なんて知らんし・・・2018/03/14

廊下とんび

7
素晴らしい!よくぞここまで調べた!歴史の闇とは本当に深い、深すぎる2020/02/15

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/8011512
  • ご注意事項