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平凡社新書
千里眼事件―科学とオカルトの明治日本

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  • サイズ 新書判/ページ数 205p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582852998
  • NDC分類 147
  • Cコード C0221

内容説明

二十世紀を特徴づけるなら、自然科学の発展とともに、メディアが大衆を扇動する「噂と迷信の時代」ということができる。明治末期、人々の想像力の限界を試す「千里眼事件」が起きた。透視や念写ができる「超能力者」が現れ、世を騒がせたのである。その能力の実在を証明しようとしたのが、心理学者の福来友吉だった。錚々たる学者を前に公開実験が行われ、騒動は一層広がることになる。「千里眼事件」が社会に投げかけたものは一体何だったのか?この事件の顛末を通し、人間にとっての「認識」の意味を問う。

目次

第1章 メディア時代の「科学」「新発見」
第2章 「千里眼」の出現
第3章 千里眼の「証明」
第4章 社会的事件としての千里眼
第5章 念写をめぐる論争
第6章 スキャンダルと心霊への傾斜
第7章 明治末期の「科学」の揺らぎ

著者等紹介

長山靖生[ナガヤマヤスオ]
1962年茨城県生まれ。評論家、歯学博士。鶴見大学歯学部卒業。歯科医のかたわら、文芸評論、家族や若者の問題などに関して執筆活動を行う。1996年、『偽史冒険世界』(ちくま文庫)で大衆文学研究賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hit4papa

43
鈴木光司『リング』がモチーフにしたのが、明治42年~のオカルトブームに火をつけた千里眼事件。このロマンを感じさせる事件の背景や顛末、どうにも気になるのは自分だけでしょうか?本書は、そんな疑問に応えてくれるものです。著者は本書を著すにあたって、千里眼=超能力に対する態度は中立、つまり”存在する”、または”存在しない”のどちかに偏向しているわけではないと明言しています。本書を読み進めるうちに、超能力の存在云々よりも、大学、マスコミの超能力肯定派、否定派の場外バトルや抜け駆けの功名争いの方に興味が惹かれました。2019/10/01

佐倉

16
千里眼実験を取り巻く様々な要素…事態の経緯や実験の問題点のみならず、事態を加熱させた新聞の記事や、果ては懸賞小説などから明治人の科学観にまで立ち入って検証していく。ともすれば『科学者が何故かインチキに引っ掛かった例』と冷笑的にまとめれられることもある千里眼実験だが、ナショナリズムと紐付いた科学界の新発見ブームのような、新発見を求める社会的な空気感があったことは心に止めたい。また研究者の望む結果を重視したり扇情的な報道や利害関係が事実を覆い隠してしまうというのは、過去の愚行の一言で纏められないだろう。2023/08/11

おおかみ

13
明治末期の日本を騒然とさせた「千里眼事件」。その顛末を検証することで著者が指摘するのは、透視や念写といった未知の現象に遭遇したとき、科学者が恣意的な断定を行うことの危険性である。科学的態度とは何かを問うものであり、千里眼の実在・非実在に関する予断は徹底的に排除しようと試みる。きわめて真摯な論調だと言えるだろう。2011/01/15

ワンタン

5
「QED証明終了」やNHKの「ダークサイドミステリー」で、明治期の日本で超能力=千里眼を持つと主張する人物が何人も現れ、それを検証しようとした科学者がいたことを知り、興味をもってこの本を読んだ。この著者らしい実証的な語り口でとても面白く読んだが、今から見ると、どうしてこんな杜撰な検証方法がまかり通ってしまったのか、不思議な気がする。世間は超能力者が本当にいると科学的に証明されることを期待し、科学者自身その誘惑(それは名誉欲かも知れないがそれだけじゃないと思う)に抗えなかったのだろうか。そう考えると、同様→2021/10/03

amabiko

5
「自分が望んだような実験結果を得たい、自分の仮説を証明する真実に出会いたいという願望こそが、学者に冷静な判断を失わせることになりがちであることを、われわれは知らなければならない」p492019/01/06

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