呪の思想―神と人との間

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  • サイズ A5判/ページ数 287p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784582831214
  • NDC分類 222.03
  • Cコード C0010

内容説明

白川静と梅原猛、奇の二人が語る。「呪の思想」。すべてが神に問われた。神はすべてに答えられた。神に卜(ぼく)する占。昔、むかし、三千三百年前のむかし、神々と人々が交通していた、時代のものがたり。

目次

対談1 卜文・金文―漢字の呪術(「白川静」の学問―異端の学から先端の学へ;『万葉集』と『詩経』―甲骨文と殷王朝;三つの文化―文身・子安貝・呪霊 ほか)
対談2 孔子―狂狷の人の行方(和辻哲郎の『孔子』―白川静の『孔子伝』;陽虎・孔子の師?―近くて遠い人;孟子・鄒衍・荀子・韓非子…―「斉」の国へ ほか)
対談3 詩経―興の精神(楽師集団と『詩経』―伝承された「風」「雅」「頌」;『詩経』の発想法・表現法―「賦・比・興」;「興」という漢字―両手で酒を注ぐ象 ほか)

著者等紹介

白川静[シラカワシズカ]
明治43年、福井県に生まれる。大正12年、尋常小学校卒業後、姉を頼り大阪に出る。翌年から、後に民政党代議士となる広瀬徳蔵の事務所に住み込みつつ、成器商業の夜間部に通う。広瀬の蔵書『国訳漢文大成』や漢詩集などを拾い読みする。昭和8年、立命館大学入学。この頃、呉大澂の『字説』を購読。昭和10年、立命館大学在籍のまま、立命館中学の教諭に就任。昭和19年、立命館大学予科教授、専門部教授、文学部助教授を経て、文学部教授となる。助教授時代、処女論文「卜辞の本質」を発表。以後、教授として中国文学史・甲骨金文学を講じる傍ら、精力的に執筆活動を展開。昭和59年より刊行された『字統』『字訓』『字通』(いずれも平凡社)のいわゆる「字書三部作」は「白川漢字学」を広く世に知らしめた。これらの研究の成果により、毎日出版文化賞特別賞、菊池寛賞、朝日賞、井上靖文化賞などを受賞。平成10年、文化功労者として顕彰。平成11年、勲二等瑞宝章受章

梅原猛[ウメハラタケシ]
大正14年、宮城県に生まれる。母・千代の死により、二歳にして愛知県の伯父夫妻の許へ引き取られる。昭和12年、浄土宗系の東海中学校入学。当時の名誉校長は、椎尾弁匡氏。昭和39年、NHKテレビ「仏像―かたちとこころ―」の総合司会を担当。この仕事によって「仏像という“かたち”の背後に、仏教思想という“こころ”を発見した」と自覚、以後仏教経典を読みあさる。昭和44年紛争中の立命館大学を辞職、浪人生活を送る。この間、角川書店を中心に、仏教の宗祖についての論考を発表。主著『隠された十字架』(新潮社/昭和47年)、『水底の歌』(同/昭和48年)は、宗教で学んだ美と情念が絡み合う特異な「梅原学」(怨霊史観)の誕生の成果である。六十歳の大病を契機に口述という語り下ろしの手法で、『日本冒険』(「野性時代」に二年八か月の連載)、『海人と天皇』(「朝日ジャーナル」に二年間連載)等の大作を世に問う。またフィールドワークを中心に据えた仕事、「京都もののかたり―地霊鎮魂」「京都遊行」を合わせて三年余、各々、読売新聞、京都新聞に連載。平成9年、日本ペンクラブ会長に就任。平成11年、文化勲章受章。
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

69
帯が、追悼白川静先生、になってたけど、今や両名とも・・。鬼才、高橋和己が、学生運動華やかなりし立命館で一人コツコツと学問を続けるS先生、と書いたのは、白川静先生のことなんですね。高橋の論文を読んで大学に採用したのもそうだったのか。 青銅器の饕餮は、虎、苗族の言葉が残った、ですって。そいえば虎っぽい。2021/09/15

寛生

46
【図書館】内田の「死と身体」を読み返していると、本書がどうしても気になり読む。自分の無知の世界に、何か大海から一滴の水が滴り落ちることによって、見たことのないような大海を想像させてくれるような本。コトバこそが私に邂逅を求めて待っていてくれるのではないか。それによりこちらの文字通りの生きている姿勢、コトバへの姿勢がいかに真摯でなかったかと悔い改めさせられるような邂逅。言霊の力で歌い上げる舞。白川が「左は祝詞で、右は祝詞を頂いておる人です」と「呪」の意味をいう。呪者白川は手で文字を写し書くことで、神に問う。2014/10/24

星落秋風五丈原

22
巫女の私生児だったという全く新しい人間的な孔子像を作り上げた白川の「孔子伝」の衝撃。中国の殷と日本の縄文が共通すること、「詩経」の興の精神と初期万葉に会い通じる呪性がある事など、啓示のような言葉の宴が続く。 白川静と梅原猛、奇の二人が語る。「呪の思想」。すべてが神に問われた。神はすべてに答えられた。神に卜(ぼく)する占。昔、むかし、三千三百年前のむかし、神々と人々が交通していた、時代のものがたり。 2004/02/09

烟々羅

19
私は会話の流れに乗って本文のみを楽しみました。 読書よりも図鑑を愉しむタイプならばはさまれた漢字のうんちくを拾い読みできるし、逆に精読するタイプならば下段の豊穣な注釈を読み合わせるでしょう。 じつは、初・白川静。新明解国語辞典が金田一春彦氏(とそのグループ)の語感を優先し、決して無難な解説ばかりでないことはこの二十年ほどでとみに知られるようになりましたが。漢字の権威である白川静さんの「字書」三部作が、白川氏の独自解釈を多く含み、結果として出版後に定説になったものも数多い、顔のある辞書だと (続く2012/02/21

たまきら

8
日本を知るための大きな指標をたててくれた知の巨人二人の対談集です。非常に面白いエッセンスがたくさん登場するんですが、やっぱり会話体だとなんだか深みに入れない…読者との対話が減るからでしょうか。2015/10/06

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