内容説明
イタリア年に贈るイタリアン・ファンタジーの最高傑作。『昔むかしランベルト男爵は一度生きてまた生きた―サン・ジュリオ島の不思議』をクレメンティーナ・アチェルビ監修によるEinaudi Scuola版から翻訳したもの。
著者等紹介
白崎容子[シラサキヨウコ]
東京外国語大学修士課程修了。武蔵野音楽大学専任講師を経て、現在慶応義塾大学文学部助教授。NHK文化センター、日伊協会、NHKラジオ・イタリア語講座などの講師も務める
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感想・レビュー
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桜子
11
93歳のランベルト男爵はアラブの隠者から秘法のヒントをもらい、どんどん若返ってゆく。そこへ遺産目当ての甥オッタヴィオが現れて悪巧みをするが、はてさて。ロダーリ氏は作中で、おとぎ噺は少年少女や若者から始まるのが定番だから、のっけからおじいさんが登場するのは失礼か、否!と自問自答する。日本では爺婆始まりが定番だから、かえってワクワクしてしまう。いつも傘を手放さない忠実な召使アンセルモや、隙あらばディルフィーナに結婚を申し込む人たちと彼女の吉本新喜劇みたいなやり取りなど、馴染み易いユーモア満載。面白かった。2012/05/05
バナナフィッシュ。
8
奇天烈な筋ながら、とてもよくまとまった作品。癖っ気のある書き方ながら、読者をくってかかるような語句もなく、安心して読み通すことができる。平易な文章で書くことは当たり前だけれど、そこにちょびっとだけ皮肉のエッセンスを加えるのは難しい。これがイタリアの子供たちに愛される所以か!と思わされること多数。2016/11/23
ひなにゃんこ
6
★★★★☆ ユニークな発想にユーモアたっぷりの文章で、楽しかった。「名前を呼んでもらっていれば命は不滅」(=死後もその人の事を覚えている人がいて、思い出語りに名前を呼ばれている間は、存在として生きているのと同じ)、という死生観?は、私なんかは「後世に名を残すような人以外は、親族友人も絶える何世代かのちには、存在自体無になる」と捉えて刹那的になっていたけど、こんな風に楽しいお話になるなんて! ロダーリって素敵な人だ! ちょっと嬉しくなった。2011/05/11
さぼさん
5
“名前を呼べば命は不滅”.死んだ後でも,語ってくれる人たちがいる限り生き続けることができるという意味だが,それをそのままの形で表現したおとぎ話.94歳の老人が,名前を呼ばせることにより若返って行く痛快とんでも話.結末は読者次第なところもグッド.2010/07/21
きりぱい
4
93歳で体は痛む所だらけの大金持ち男爵が若返る!?屋根裏部屋に集められた6人の奇妙な仕事、遺産を狙う甥、容赦ない強盗団など、設定も展開も気ままで楽しいファンタジー。『猫とともに去りぬ』と同じ作者だと気付かず読んでいた!2010/05/21