出版社内容情報
著者初の掌編小説集。表題作のほか「32歳のデイトリッパー」「あしか祭り」「スパゲティーの年に」など18編を収める。カン・ビールとスニーカーを友に都市を漂う若者の原風景をリリックに描出する。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
再び読書
32
再読、図書間綺譚が結構ハードな物語で長編になりそうな感じがして面白かった。佐々木マキ氏のイラストだけをパラパラ眺めても楽しかった。全体的には色々な作品があって面白かった。村上氏の作品には共通して良くも悪くも人物の息づかいが感じられない。読み物でありながら、小洒落たBGMの様な感じが、村上氏の短編には感じる事が多い。2020/05/07
踊る猫
28
想像力が自由に閃く。奇想が静かに展開される。特にこれといって劇的なドラマは起きない、「ヤマなしオチなしイミなし」なストーリーたちはしかし、村上春樹という稀代のペテン師の筆に掛かれば「これってマジ?」という、生々しいと言うのとも違う変な説得力のあるものとして迫り出して来るから不思議だ。あり得ないことをあり得るように描く、というのではない。あり得ないことをあり得ないように描く。さながら白昼夢の記録のように。百閒をベースに片岡義男が憑依して書いたかのような、クールでワイルドな夢日記のような小粋な短編集だと思った2019/10/15
きつねこ
17
とても若かった時に読んだ村上さん+佐々木マキさん。すてきな正方形近い形できちんとゴツメのセロファン紙に包まれ、さらに箱に入っているという、昔ながらの美しい体裁に守られています。気取って買ったんだろうねえ。2014/06/11
ジュンコ
14
今日は村上春樹の気分だったから。「カンガルー日和」日和。堪能。2018/09/28
akane_beach
14
短編が18編。長編を書くためのラフスケッチのような。「羊をめぐる冒険」を書いている時からの小雑誌への連載だったようでかなり自由。物語として成立しているのか?抽象的?形而上学的?すぎて私には理解できない作品も。順番では「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」へと続くのだが、短編のモチーフを使っているんだろうなと感じた。「カンガルー日和」「鏡」は教科書に採用されたそうだがイマドキは村上春樹で学ぶんだ。中高の教科書なんて当時はまともに読んで無かったな。全集では大幅に加筆修正しているらしく、読んでみたい。2014/09/19